先ほどまでエテモンと戦っていたはずの太一と純、パートナーたち。
今、彼らの目の前には先ほどまでとは全く違う光景が広がっている。
「こ、ここは…」
「戻ってきたの…?」
周りに何人もの人間がいるこの光景はデジタルワールドで彼らが何度も望んだ光景そのもの。
しかし、望んでいたとはいえ、それが前触れもなく突然手に入ると、簡単には受け入れられない。
その証拠に太一と純は微動だにしなかった。
「人間ばっかり…」
「純…」
「抱っこしてて…」
彼らのパートナーたちもまた初めて来た世界に戸惑っていた。
それはまるで子どもたちがデジタルワールドへ初めて旅立った時のよう。
「本当に戻って来れたの…?」
「俺たち、やったのか?夢じゃ、ないよな?」
「太一ぃ…っぐあ!」
コロモンに女の子が投げたボールが当たる。
太一がその女の子にここの場所を聞くと、コロモンの姿を見るや否や泣きだした。
「太一ぃ、泣かせちゃダメだよー。」
「バカ!お前見て泣いてんだよ!」
「えぇ、僕ぅ?!僕、怖い?!」
「コロモンは怖くなんかないよ。きっと、デジモンなんて見たことないからビックリしちゃったんだよ。」
周りの注目を集め始めたため、太一と純は急いで場所を移動した。
場所を移動すると、お台場海浜公園前と書かれたバス停が目に飛び込んできた。
お台場は太一と純の家の近所。
「やった…!帰ってきた…帰ってこれたんだ!」
「やった!やったね、太一ぃっ!」
太一と純は現実世界、それも自宅の近くに帰ってこれたことを抱き合って喜んだ。
しかし、顔が近いことに気付くと、すぐに離れる。
離れてからもしばらくはお互いの顔は真っ赤だった。
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