夏色ドロップス | ナノ

act.03

太一が進んだ先にあったのはうつろな目で一点を見つめる純の姿だった。

「純!」
「太一?!なんでここに…!!」
「ナノモンは純のコピーを作ろうとしてるんだ!」
「オリジナルの純はここにいる!」

声のする方を見て、太一はやっと純とロップモン、テリアモンの状況を把握した。
太一が見ていたのは純のコピーだった。

「たった今、コピーは完了した。聖なるデヴァイスと紋章を身につけさせれば、本物になる。」
「そうはさせるかっ!」

太一はナノモンに飛びつき、純のデジヴァイスと紋章を奪い返した。

「そんなことをされては、こちらの予定が狂ってしまう。」
「太一ぃ!」
「純っ!」

突然、純の乗っていた台がなくなり、純は大きな穴へと落ちていく。
間一髪のところで太一が純の手を掴み、純の落下は免れた。
純の足元には無数の黒いコードがあった。

「これは…」
「エテモンのネットワークを形作っている暗黒の力の中心部だ。そこに落ちればすべてのものが暗黒の力に吸収され、カケラも残らない。オリジナルに用はない。消滅してもらおう。」

ナノモンは太一と純の腕を掴み、純を落とそうとし始めた。

「消滅したくなければ、その手を離し、聖なるデヴァイスと紋章を私に渡すのだ。」
「…何寝ぼけたこと言ってんだよ!俺は純を助けに来たんだ!」

太一は純の紋章とデジヴァイスを落とすと、純はそれをキャッチした。

「ロップモン、テリアモン!」
「ロップモン、進化!トゥルイエモン!」
「テリアモン、進化!ガルゴモン!」

トゥルイエモンとガルゴモンは太一と純を担ぐと、高くジャンプし、迎えにきていたバードラモンの足に捕まり、ピラミッドを後にした。
脱出した先にはほかの子どもたちが待ち構えており、純がバードラモンから降りるや否や一斉に抱きついた。

「純ちゃーん!無事だったんだねー!」
「純、先に行けとか変なこと言ってんじゃねぇよ。ったく…」
「そうですよー!純さんは私たちの大切な仲間なんだから!」
「もうちょっと僕たちを頼ってくれてもいいんじゃないか?」
「うん、ごめんね。みんな、助けてくれてありがとう!」

純は子どもたち全員の顔を見渡し、お礼を言った。


prev next

bkm
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -