夏色ドロップス | ナノ

act.04

純が目を覚ますと、やはり、船の上ではあったが、太一とアグモンの姿はなかった。

「ロッテリア、起きて。太一たちがいなくなっちゃった!」
「…んー。アグモンも一緒だからモーマンタイだよー。」
「でも、アグモン、進化できないんだよ?!」
「それは僕達も同じでしょー。」

純は正論を突き付けられ、言い返すことができず、そのまま黙り込んでしまった。
ふと顔を上げると、いつの間にか見覚えのある場所に来ていたことがわかった。

「この公園…」

そこは純が幼い頃、よく来ていた公園だった。

「純ー、あそこに誰かいるよー?」
「…あの子…」
「知ってる子ー?」
「幼稚園の頃の私…」

幼い頃の純はベンチの上で膝を抱え、泣いている。
そんな幼い頃の自分と距離を縮めながら、純は昔のことを思い出していた。

「…もうダンスなんてやりたくない…」
「ダメだよ。途中で投げ出したら。」
「…え?」
「ちょっと失敗したからって諦めちゃダメ。」

純は幼い頃の自分に視線を合わせると、手を握った。

「そんなことで悩まないで。失敗しても、友達が、仲間が必ず助けてくれるから。」

純がそう言った直後、公園の入り口から声がした。

「純ー!」
「ヤマト!」

そこに現れたのは金髪に碧眼の男の子。
まだあどけなさの残る、幼い頃のヤマトだった。

「純、勝手にいなくなったら心配するだろ!」
「だって、できないから…側転できないから、先に進めないんだもん…」
「今度は俺も教えてやるから、一緒にやればいいだろ?」
「…うんっ!!」

幼い純は幼いヤマトに教えてもらいながら、幼稚園の発表会で踊るであろうダンスをこなしていった。
時折、側転を失敗する場面もあったが、ヤマトは嫌な顔一つせず、丁寧に教えていた。

「ヤマト!できた!私、ちゃんと踊れた!」
「だろ?ほら、母さんたちが心配してるから帰るぞ!」
「うん!」

純とロップモン、テリアモンは幼い純とヤマトを見送った。


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