どうしてサッカーか、と聞かれたら正直俺は困ってしまうのかもしれない。

確かに小さい頃から友達と遊びでやってて、テレビで試合も見ていた。でも他のスポーツだって嫌いじゃなかったし、ヒーロー番組だって大好きだった。小学校でサッカークラブに入ったのは仲の良い友達に誘われたから。中学校でサッカー部を選んだのは多分、そんな流れがあったからだ。
別にサッカーじゃなきゃいけない理由はなかったんだ。円堂みたいに筋金入りのサッカー馬鹿にはなれないし、一之瀬の奴みたいにサッカーに人生を掛けることは出来ない。とは言え風丸みたいに足も早くない、鬼道みたいに頭も良くない俺は、ただ部活という名前を借りてでも唯一縋れるものを探して、それが多分サッカーだっただけ。

本当のことを言えば、やめてしまおうと思ったことは何度もあった。こんなこと、もう放り出してしまいたいって。俺がこのスポーツを続けても、何の意味も価値もない。本気でそう考えて、何度も手放そうと思ったけれど。



「半田、どうしたんだ?」
「ん? ああ、このユニフォーム着るのも今日が最後だなって」
「うん、やっぱり6番は半田の番号だよな! 今日は思いっきり楽しもうぜ!」
「ああ、言われなくても楽しむさ」

それでも俺はサッカーを選んだことを後悔はしないし、たとえ何度繰り返すとしてもまたきっとサッカーを選ぶんだと思っている。多分もう、サッカーじゃなきゃ駄目なんだろう。
サッカーと、サッカーを通して出会った全てが、今の俺にとって何より大切で、愛しいんだ。



(6/6半田の日! 今更過ぎる最後の新旧雷門試合ネタです)


110606 23:58



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