とある屋敷しもべ妖精の書付

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 私は屋敷しもべ妖精のデイジーと申します。
 ホグワーツに勤めて十一年。まだまだ若輩者ですが、生徒さんや先生さまのお役にたてるよう、日々精進いたしております。
 ところで、先日からホグワーツにはお客様がお泊りになっておられます。
 何でも、深い事情がお有りとか。それに、ひょっとしたらホグワーツにお勤めなさるかも、などという噂もございます。
 光栄なことに、このデイジーめはそのお方のお世話を任されたのでございます。
 と、言いましても、たまたまその方――お嬢様といって差し支えない、うら若いご令嬢でした――を抱きかかえたスネイプ先生に声をかけられたのが、きっかけでございました。
 スネイプ先生の腕の中で意識を失っておられたお嬢様は、艶やかな黒髪と、長い睫毛が印象的な、美しい面ざしの方でございました。スネイプ先生はお嬢様を丁寧に寝台に寝かせなさいますと、デイジーめにお世話するよう申しつけなさいました。目覚めるまで世話を頼む、そうおっしゃったものの、スネイプ先生は時折部屋にいらっしゃって様子を確かめに参られました。スネイプ先生はお優しい方です。
 そして今日、とうとうお嬢様がお目覚めなさいました。お嬢様はとても優しくデイジーめを労って下さいました。デイジーめはお嬢様のためなら何でもしてさしあげたいと思いました。ご入浴の支度をし、お食事をお持ちしますと、お嬢様は笑顔で応えてくださいました。そしてさらにいくつかのお願い事をこのデイジーめに頼まれました。
 これからそのお願い事を叶えて差し上げるため、デイジーめはお嬢様をロンドンにお連れなさいます。ふと、スネイプ先生にご報告しなくてよろしかいのかしらん、と思ったのも事実でございますが、校長先生さまのお許しが出ていらっしゃいますし、きっと大丈夫でしょう。
 ――それでは、行って参ります。

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