君ヲ想フ

 いつも、いつもあなたを想ってる。
 ただ従順な妻だとお思い?出会った頃、あなたは私を見くびっていたわね。ただ、優しそうな女、家庭的な女だと。ええ、そう見せかけるのは簡単だったわ。造作もないこと。あなたの妻という座につけるのなら。
 闇祓いという職業に就く夫。それをそれを支える清楚な妻。世間にはそう見せるのが一番だと思ったのよ。それもこれも、あなたを想っているから。
 ねえ、でもね。出世という王道を歩むには、実力だけじゃダメなのよ。あなたは真っ直ぐすぎて、それがまだわからなかった。自分の技術を磨くのに熱中しすぎた。それは反感を買うこともあるの。……ええ、でも私がいるから大丈夫。
 贈り物には困らなかったわ。実家も裕福そのものですしね。それに私、けっこう人脈が広いの。それでもダメだった時は……ええ、私、私を使ったわ。でも別にかまわないでしょう。それもただただ、あなたのため。何もやましいところはないわ。
 そして、今。
 ふふふ、どう?魔法省大臣の椅子は。「名前を言ってはいけないあの人」があなたの前に立ちふさがろうと、私はあなたを信じてる。あなたに不可能はないわ。そして歴代大臣の中で最も輝かしい賛辞を受けるのよ。
 そう、私はいつも一番あなたを想ってる。
 ──あら、あの「生き残った男の子」があなたに協力しようとしないというの?それは困ったわねぇ。……私の出番、というところかしら?

                                 

(Rufus Scrimgeour)



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