タイムリミット。
それはどんなものにも存在する。お伽話の中、毎度の宿題、おいしい食べ物、あげていけばきりがない。
そして、僕のタイムリミットは、卒業だ。暖かな庇護の下、自由を謳歌し、無限の夢を見ていられるタイムリミット。
君が少し焦げたクッキーを持ってきてくれるのも、一緒にホグズミードに行ってハニーデュークスを楽しむことも、寮の談話室でヒソヒソ話をして笑い合うのも、全部この幸運なタイムリミットまで。
君にはそれを教えてあげない。僕は本当は優しくなんかないから。でも、卒業から先の僕の人生を思えば、それは許される程度の意地悪。
僕が毎日、どんな想いでカレンダーを見つめているか、君は知らないだろう。その度に君の顔を思い出すことも、きっと知ることはないだろう。
──もう、最後の冬。最後の一年。
日が昇る度悲しくて、日が沈むたび君を想う。
終末が近くなる。それだけは僕が知っている。──だからこそ。
そう、これは必ず消えるのだと、わかっているから尚。
──君が愛しい。
(Remus Lupin)
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