悪夢1









※1万HITリクエスト12
「触手×焔椎真」









おかしい。
絶対にこれはおかしい。



率直な感想を述べるならそれしかなかった。
たった今まで愁生と一緒に襲い掛かってきたデュラスを倒そうと戦っていたのに、その戦いの最中に突然目を開けてられないほどのまばゆい光が辺り一帯を包んだかと思うと、弾かれたようにどこかへ飛ばされたのだ。
離れ離れになる直前にパートナーの名前を力の限りに叫んだが、愁生は聞こえていただろうか。






「どこなんだ、ここは」

飛ばされた先はどこかの洞窟のようで、周りの壁はどこまで見渡しても石でできている。
そして行けども行けどもぐるぐると同じ所を歩いてるみたいで、出口も何も見つからないのだ。
以前愁生がアシュレイに連れ去られた時に夕月と一緒に歩いたあのお城みたいに。
とにかく理由は分からないままだが、自分だけが愁生と一緒に戦っていた場所から飛ばされたなら一刻も早く戻らなければならない。
あそこにいた敵はまだ倒していないのだから。

「くそっ! どこなんだよ、ここは!」

石の壁を拳で叩き、悪態をついてみても誰の返事も返ってこない。
さっきまで戦っていたデュラスはどうなっただろうか。
愁生は無事だろうか。
今すぐにでもパートナーの元へ戻らなければと思うのに焦燥感ばかりが募っていくのみで、こんな時何の役にも立ってくれない「神の声」の力が恨めしかった。
愁生なら「見とおす者」の力で出口を発見できたかもしれないのに。


「愁生……」



その時だった。
もぞりと何かがどこかで動くような気配がしたのは。

「何だ……?」

敵だったら戦いになるのは分かりきっている。
焔椎真は直ぐ様マスターストロークを具現化させ、臨戦態勢をとった。
どんな敵が現れても遅れを取らぬよう、マスターストロークを構えながら洞窟内を注意深く見渡してみる。
けれど集中を途切れさせないようにしながらどれだけ待ってみてもどこからも、何も現れそうになかった。
さっき聞いたのはただの空耳だったのだろうか。
緊張しながら同じ場所を延々と歩いているから自然と感覚も麻痺するのだ。

「はあ……、おどろかすなよな」

マスターストロークをおさめ、張り詰めていた緊張感を解いた一瞬のことだった。
洞窟の分かれ道から現れた無数の蛇みたいなものが、焔椎真の四肢を絡め取ったのは。

「うわっ!」

両手両足をそれぞれ開かされ、宙に浮いた状態になった焔椎真は何が起こったのか必死に把握しようとした。
物音が聞こえた後、とうとうデュラスのお出ましかと思って戦う心積もりでいた。
なのになかなか出てこなくて、ただの聞き間違いだったかと気を休めた一瞬の隙をつき、何かが身体に巻き付いてきたのだ。

「くっ……」

よく見ると緑色をした蛇みたいなものが四肢や腰等に絡み付いているではないか。
力を込めて解こうとするが、蛇みたいなものは少しも緩む様子がなかった。
ならば自分のもつ「神の声」で燃やし尽くせばいいだけだ。

「闇の暗き者、地獄の業火に……、ぐっ!!」

後少しで詠唱が終わり上手くいったというのに、いきなり分裂したそれは、焔椎真の首にきつく巻き付いて声を出させないようにしてきた。
まるで自我があるかのように。

「ぐっ……!」

このままじゃ窒息してしまうと思った矢先、触手は焔椎真が息を吸えるだけ、ほんの少しだけ力を弱めた。
だが、もちろんここで終わりではない。
なんとか藻掻こうとする焔椎真の着ている服の隙間から触手達は中に入り、肌の上を不規則に這いずり回っていく。

「あ、やめ……、ろ」

焔椎真は本当はここでこそ「神の声」を使って触手を燃やすべきだった。
一度の攻撃で触手が全て息絶えるかは分からないが、何もしないよりはする方が何倍もいいのだから。
なのに初めての光景に驚き、「神の声」を使うのを失念してしまったのだ。
その隙を触手達は見逃さなかった。

「あっ……」

焔椎真の口が開いたのを狙って何本もの触手が一気に中に入り、咥内を蹂躙しながら何かの液体を喉の奥に大量に流し込んできたのだ。

「ん、んんっ……!!」

あまりに突然のことに焔椎真はまともな抵抗もできず、何なのか分からない液体をゴクリと音を鳴らして飲み込んでしまった。

「ぐ、ああっ……、」

しまったと思った時にはもう遅かった。
触手に触られている箇所を中心に、全身が過剰に反応しだしたのだ。
それは痛みとかじゃなくて、腰からせり上がってくるような、電気が走るかのような快感。

「あ、あ……っ、やめ……っ」

何が起きかけているか理解したくなくて、でもそんな焔椎真を嘲笑うかのように全身を這っていた触手が凶暴ともいえる力でビリビリッと大きな音を立てながら服を突き破って外へ出てきた。


「ああぁあっ!!」


着ている服は見るも無残に破られ、胸の突起や下肢を剥き出しにした焔椎真だったが、それさえも快感としか捉えられなくなっていた。












2010/10/4

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