おやすみ









※拍手お礼小説(8/19〜9/5掲載分)を加筆修正。










「ふああ……、愁生、眠い」
「またお前は。眠たいなら自分の部屋に行けよ」
「めんどくせー。動きたくねー」
「はあ、焔椎真……」



今までたくさんのことを話し込んでいた。
自分の部屋よりもひどく安心できる愁生の部屋で。
昔の思い出話から学校での出来事、宿題をやりたくない焔椎真にそれを諫める愁生。
普段でもよくある光景で、特段変わった部分はない。
そして焔椎真が愁生の部屋に来るのだっていつものこと。
愁生の部屋で焔椎真が眠りこけてしまうのも。



「ふああ……。やっぱねみい……」



こしこしと目を擦る焔椎真は何度目かのあくびを吐き出して船を漕いでいたが、とうとう堪えきれなくなって愁生のベッドにごろりと寝転んだ。



「風邪ひくぞ」
「んー」
「焔椎真」
「なあ、愁生、ここに……、いてくれ……」



愁生の手首を無意識に握った焔椎真は瞼を完全に閉じ、パートナーへの願いを残したまますーすーと寝息を立てだした。
こうなってしまったら起こすのも可哀想だ。
焔椎真の隣に寝転がり、愁生はそっと額にキスを落とした。







「大丈夫だ。おれはずっとお前の傍にいるから」







だからどうか安らかに眠って、愛しい人――













2010/9/15

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