Don't Cry 1








小さい頃からずっと焔椎真を守ってきたのは誰でもない愁生で。



「ホツマっ、お前……っ、」
「シュウセイ、どうしたんだ?」



ぽろぽろと涙を双眸から溢れさせた焔椎真の先にあるのは、愁生もよく知っているあの子犬の……。








* * * * *

ちょうど二週間前、焔椎真と土手の近くを歩いていた時に見つけた子犬。
首輪がついているでもなく、ましてや段ボールに入れられるでもなく所々薄汚れていたその生き物は、雑草の上に身体を横たえ小さな脚に怪我を負いながらも、力を振り絞るように、誰かに見つけてもらうことを望むように細く鳴いていた。

「シュウセイ! あれ!」
「何か見つけたのか?」
「あそこにいるのって子犬だよな?」
「そうだな。どうやら脚に怪我をしてるみたい」
「本当か!?」

焔椎真は慌てて道路からはずれ、雑草の生い茂った坂を下って一目散に子犬の元へと走り出した。

「ホツマ!」

子犬なんてどうせどちらかの家に連れ帰っても飼うこともできないのだから放っておいた方が良いのに、焔椎真は今はそこ