誰が書いたシナリオ?



「おはようみょうじさん」
「…おはよ、佐伯」

佐伯からの挨拶に答えると、隣で話をしていた友人から訳のわからなそうな顔をされる。私の答えに満足げな佐伯とは裏腹に、私は不満バリバリだ。なんだこいつ行動が早い。運動部だからか?昨日の放課後のことを悔やみながら朝から深いため息をついた。

佐伯からの告白に、私はそりゃもう悩んだ。悩む。劇でロミオなんかやりおる学校一と言っても過言ではないようなイケてるメンズの佐伯虎次郎さんからの告白である。悩まない方が無理だって。
…まあ、結論から言うとお断りしたのだ。好きでもない人と付き合えるほど私は器用でもないし、そいつに時間を取られるのはゴメンである。そんなことを丁寧に伝えると、じゃあアタック頑張らないとなぁ!なんて言いやがった。これから引っ付き回して必ず好きにさせてみるよ、とのことだ。思わず悲鳴が出た。そして私は佐伯に承諾の返事を渋々と出した。



「ねえなまえどういうこと!?アンタ素が出てるよ!?」
「佐伯から素でいいって言われたからありのままの自分をさらけ出してる」
「…佐伯くんとどういう関係なの?」
「そうだね、まあ、こういう関係かな?」
「ギャーッ!」


コソコソと手で囲いを作って開催された女子トークは佐伯の突然の乱入によって遮られた。そして悲しいかな、ヤツの一言によりクラスが一気にざわつく。どこからか佐伯のファンとかそういうのの女子による甲高い悲鳴が聞こえる。佐伯は昨日から余計なことしかやらないな…オイ…
ふったらふったで面倒くさそうだからと、付き合うことにしたけれど…これ絶対判断間違ったね!チクショウ…やられた…面倒くさがりを逆手に取られた…



「え!?いつから!?」
「昨日、俺からね」
「キャー!!」


パチンッ!と私にウインクを投げつける佐伯に思わず机へ身を伏せた。照れてるー、なんて声が聞こえるが、そういうわけじゃない。ただ単に面倒くさいからなんとかしようとしているのだ。
見てろよ佐伯、てめぇいつか見返してやるからな…!



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