真田ァ!誕生日おめでとう!!!! | ナノ


▽ かつての少年



教育実習の時に、忘れられない男の子がいる。
私のことをフォローしてくれたり、授業にもちゃんと参加してくれて、部活動も1年生だというのにレギュラーをするくらいの実力者で、なんというか私とは真逆だったが、時折見せる少年らしい笑顔がとても可愛い、そんな男の子だった。

さて、時は流れ無事に先生となった私は母校である立海大附属中学校に赴任されることとなった。実習もこの学校だったので、あの時受け持ったクラスの子達がどのように成長したのか、かなりドキドキしている。そしてあの時の少年…真田弦一郎くんがどんな風になっているのか、それも気になるところだ。



「えー、今年から国語の担当になりましたみょうじなまえです。実習の時にここの学校に来ていたので、何人かは私のことを覚えてる人が居たりしたら嬉しいな。残り一年だけれどよろしくお願いします!」


一番はじめの授業ということで簡潔な自己紹介とともに頭を下げるとパチパチと拍手が聞こえる。よし、頑張るぞ!名簿を見るとやはり何人か知っている名前があり、そしてその中に思い出の…真田くんもいた。え!?まじで!?


「真田くんって今いる!?」
「はい、俺です」
「え!どこど……ん?!」


オイオイオイ…まさかあのどでかい男子生徒と呼び難いおじさんみたいなのが…真田くんだと言わないよな…?もう一度念のため、真田くんと名前を呼ぶと、悲しいかな老け顔の制服を着た男性が…ハイと返事をした。なんてこと…


「なんか随分大人っぽくなったのね」
「先生も大人っぽくなりましたね」
「…老けたってとっていいのかしら?」


ドッと笑いが起きどこからか真田ー!なんてやじが飛ぶ。申し訳なさそうな顔をしている真田くんに苦笑いを向け、同じく見知った顔の子に声をかけた。そしてそのまま自己紹介の時間にしで、今日の授業はおしまいである。




「先生」
「真田くん」
「まさかまた会えるとは思いませんでした」
「私も。でも会えてよかったなぁ、気になってたもの真田くんのこと」
「えっ!?」
「真田くんよく私のこと気にかけてくれたでしょう?優しい子だったから気になってたの、どんな生徒になったんだろうって。そしたらこんなに大きくなっててびっくりしちゃった」


私の答えに何故か少し残念そうにそうですか、と答えた真田くんは少しの間のあと、顔をくしゃりと歪ませて昔と同じ、少年のような顔で私に笑顔を向けた。大きくなったね、真田くん。私はこの一年で何回君のその顔を見れるんだろう。




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好きだから世話を焼いていた真田少年的な


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