真田ァ!誕生日おめでとう!!!! | ナノ


▽ 手紙の束


真田君へ
半袖とクーラーが恋しい季節になりましたね。元気ですか?いや、元気そうですね。私も見ての通り元気もりもりです。最近悲しいことがありました。小テストの点数が思いの外ひどかったんです。悲しいですね。そういえば明日の…というか今日の定食は噂によるとハンバーグらしいので今からドキドキです。



みょうじへ
もう衣替えも近くなったな。そういえば我が家ではすだれをいつ出すかという話になった。元気なのはいいが、その元気さを授業中に出さず寝ているのはどういうことだ。だから小テストで悪い点を取るのだろう、たるんどるぞ。昨日はハンバーグではなく焼き魚だったらしいな。幸村が喜んでいた。





「あんた、よくそれ続いてるね」
「毎日コツコツとだと続くんだよ」


いつだったか、文通がしたいなぁ…なんて掃除の時間につぶやいたのが始まりだった。同じく掃除当番だった真田くんが「文通か、いいな…」「だよね…真田くんも憧れる感じ?」「少しな」「やっぱり憧れるよね…っていうか私達でやれば解決じゃない!?どう!?」なんで会話の末、嫌そうな真田くんを押し切り、同じクラスなのに文通仲間という奇妙なことをしている。


「あのね、私はちゃんとお手紙の文法とか見たりしてるのに真田くん超適当なの。私ですます調なのに普通に返してくるし」
「クラスメイトにそこまでするのも面倒じゃん」
「そうなんだけどさぁ…」


私の文法も滅茶苦茶なものだからあまり責められはしないのだけれどね…。毎朝手渡しで交換するというスタイルの文通は、私の面倒くさがりが良く出ていてルーズリーフを四等分して折ったものなので…ぶっちゃけ文通なのかも怪しい。もはやメモ交換だ。でも毎日便箋使ってるとお小遣いに大ダメージだし今時の文通の形としてはなかなかいいものなんじゃないか…
真田くんからのメモを筆箱に入れで、さて授業の準備…というところで今日の手紙が1枚だけでなく2枚だということに気がついた。初めに決めたルールで1日1枚にしよう定めたのに…一体何が…


「ん!?」


思わず目を見開いて、2枚目の紙を凝視する。ぐしゃぐしゃにならない程度に握り、予習なんかしている真田くんの机に駆け寄ると、ぐるんと察知したのか彼がこちらを向いた。


「何、この手紙は」
「そのままだ」
「だからって、こんな…だいたい真田くんは…」
「決まりを忘れたか、手紙の内容に関しては、手紙で返すと定めたのはお前だろう」
「自分は破ったくせに!」


…今日は家に帰って、それで可愛いレターセットを探して便箋なんかに入れてやろう。中身はそっくりそのまま返してやる。


『好きだ』




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