真田ァ!誕生日おめでとう!!!! | ナノ


▽ 傍にいられる



幸村が倒れてからというものの、このテニス部は殺伐とした空気が流れている。…いや、元から割と殺伐としてた。季節はめぐり、春が来て、夏が来ようとしている。真田を筆頭に彼らは無敗を掲げて、実際に遂行しているもんだから頭が下がる。マネージャーの私はせめて彼らがテニスに打ち込めるように雑用をするだけで、正直なところ役に立っているかと言われると微妙なところだ。


「昨日はお疲れ様、試合、完全勝利ね」
「当たり前だ。こんなところで負けるわけには行かないからな」


幸村と約束したから、それを守るためにみんな一生懸命になってる。もちろん私もだけれど、みんなのように試合で結果を残すわけでもない、ただのマネージャーが仲間だと、そう言っていいのか分からなくなる時がある。私はしがないマネージャーで、特別仕事だって早くない。ただ3年間続けているだけだ。


「すまないな」
「え?なにが?」
「本来なら俺たちもやらなければならないことをみょうじたちマネージャーに任せっきりになってしまって」
「いいのよ、私ができるのってこんなことくらいだし、それに…」


仲間だから、とは怖くて言えない。別にいいんだ、こうやって気にかけてくれるだけで。ねぎらいの言葉をくれるだけで頑張れるもの。


「次も勝とうね、真田」
「当たり前だ」
「頼もしい副部長だなぁ」
「俺たちよりも、まずはお前だ。あまり無茶はするな」
「大丈夫だってそんな心配しなくったって…」
「立海三連覇に一人としてかけることは許さない、もちろんお前もだ」
「…私も?」
「当然だろ、お前も仲間なのだから」


真田という厳格な男だからか、それともちょっと弱っていたからか、曖昧だった仲間という言葉が嬉しくて。泣きながら頷いていたら真田に泣くのは早いと怒られてしまった。今度泣くときは、幸村も一緒に、三連覇した時だものね。そう考えたらより一層涙腺が緩むので、呆れた顔の真田にたしなめられながらボロボロと枯れるまで涙を流し続けた。





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