真田ァ!誕生日おめでとう!!!! | ナノ


▽ 声を聞くだけで



つらい、学校がつらい。これだから転校なんてしたくなかったのに。突然の転勤で神奈川から引越しをすることになった私は、猛烈にホームシックになっている。ホームにいるけどホームシックなのだ。半端な時期での転校だから友達もいなくて寂しいし、土地勘もなくてしょっちゅう迷子。更に言うと遠距離恋愛だし何もかもつらい。
会いたい、真田くんに会いたい。同じ学校てよく考えるとすごく恵まれてたんだなぁ。一緒に帰ったりご飯食べたり、またしたいなぁ…できないけどなぁ…。ホームシックというよりも恋人シックというか、真田くんが恋しいのだ。せめて声が聞きたい。あのよく響く低音の力強い声を聞きたい。


「えっ!?」


以心伝心ってこういうことをいうのか、部屋の中に着信音が鳴り響く。この着信音は真田くんにだけ設定した曲だ。慌てて出ると、やっぱり真田くんでああもうッうれしい!


「真田くん真田くん!」
「みょうじ…そんなに呼ばなくてもいいだろう。元気そうで安心した」
「元気じゃなかったけど真田くんの声で元気でたの!」


きっと声だけで元気が出る人なんて後にも先にも真田くんだけだ。隣のクラスの先生が結婚したとか、部活が終わって今は帰り道だとか、オチも何もないとりとめのない会話だけどそれも全部が愛しい。


「真田くん、また電話してもいい?」
「別に聞かなくてもいい、好きにしろ」
「内容がなくても?」
「ああ、お前の声が聞けるなら十分すぎる」


私もだよ真田くん、寂しくなったら電話しちゃうんだからね。めんどくさくってもつまらなくても、ちゃんと話聞いてよね。


prev / next

[ back to top ]


第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -