▽ 合わせた机
「やべっ」
カバンの中の教科書と本日の時間割を見比べてサッと血の気が引く。アカンこれ明日の時間割だ。曜日間違えた。もう授業は始まっていて借りにも行けない。隣の席は窓側のため必然的に教科書を見せてもらうように頼む人物はひとりに絞られる。けれどその人物が問題なのだ。
「真田くん…あの…教科書見せて…」
小声で頼むとギロリと厳しい視線を向けられて萎縮する。うう…やだよう、なんで私の隣は真田くんなんだ…教科書とか見せてくれなそうじゃん…
「どうした」
「曜日間違えちゃって」
「そうか」
それだけいうと真田くんはがちゃんと机を引っつけて教科書をこの間に広げて置いた。え、もしかして見せてくれるの…?本当に?なんと現在先生が説明してくれているところを教えてくれるというサービス付きだ。真田くんめっちゃ優しい!
授業が終わり机を離すと、真田くんから声がかかる。教科書をもう忘れるなとかそう言う事かな。まったくもってその通りだ。
「次も見せてやる」
「…え?」
「仕方がないからな、今回だけ特別に、だ」
「あ、ありがとう!」
まさかそんなことを言われるとは微塵も思ってなかったけれど、助かる…すごく助かるよ真田くん…!
その後の授業もちゃっかりと真田くんに見せてもらい、黒板の見えないところのノートを見せてもらったり、わからない問題の解き方を教えてもらったり…今日は真田くんにお世話になりっぱなしである。
「優しいね、真田くん」
「別にそんなことはない」
「だってここまでしてくれて…助かったよ!」
「そんなのお前だから…」
「あ!次体育だね!私着替えるから、じゃあ!」
「…ッ最後まで聞かんか!!」
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