真田ァ!誕生日おめでとう!!!! | ナノ


▽ 君の夢を見る



※前の続き


おぶされながらもチェックポイントにつくと、先生からリタイアするように指示され、一人切りの部屋で二段ベッドに腰をかけながら昔を思い出していた。小学校は四年生で転校して、それで中学入学と一緒にまたこの神奈川に戻ってきた。真田くんとは幼なじみとは言わないけれど旧友と呼べる関係…なのかもしれない。まあ一度も同じクラスになったことはなく、登校班が同じなだけだったんだけど。



「みょうじ」
「あ、真田くん」


お風呂に入り、部屋を目指していると同じくお風呂上がりなのか髪の少し濡れた真田くんとばったりと出会った。普段そんな姿絶対に見ることがないから新鮮だ。


「足はいいのか」
「軽くひねっただけだって…あの、ありがとう」
「別に構わん。お前が昔からおっちょこちょいなのは知っているからな、小学校のときでも似たようなことがあっただろ」
「…覚えてたの?」


真田くんは私のこと忘れてるんじゃないかなって思っていたのだけれど、覚えてたんだ。真田くんとこうやって話すのは本当に久しぶりだ。なんとなく嫌な思いでばかりが残っていて自分から話しかけようとはしなかったのに、助けてもらったこのざまだ。我ながら現金なやつ。


「忘れるわけ無いだろう」
「そっか、私も覚えてたよ。登校班一緒だったよね」
「ああ、お前は昔から…」
「昔から?」
「今のは、忘れろ。早く寝て足も早く治せ」
「えっちょっと真田くん?」


突然すぎる切り返しに戸惑う私を置き去りに、真田くんは男子部屋の方向へ歩いていった。同じように私も部屋に戻り、言われたとおりベッドに潜り込む。なんだか気になって、頭の中は真田くんでいっぱいになってしまった。責任を取って欲しい。





眠る前に真田くんと話をしたからか、夢の中にまで真田くんはでてきて、朝から思わずため息を漏らした。小さな頃、転んだ私をおんぶして学校まで連れていってくれた、あの時の夢。彼は小さな頃から何一つ変わっていなかった。優しいのかよく分からないところもそのままだ。
ちなみに、どうやら寝言で「真田くん」としきりに呟いていたらしく、同室の子に冷やかされて酷い目にあったので、真田くんはやっぱり責任を取ってどうにかして欲しい。



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