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いつかのレディ

私の足は文化部にしては速いと思うし、実際運動部を差し置いてリレーの選手に選ばれたりもした。


「っはぁ…!」


後ろを振り向けば必ずヤツがいる。私の顔を見てなんか嬉しそうな顔をして笑うので思わず舌打ち。あー!ちくしょう!なんでこんなことになったんだ。そろそろ体力も限界に近いしへろへろに疲れたし……いくら足が速かろうが、結局のところ運動部には、ましてや男子には勝てないのだ。




私には少し年の離れたお姉ちゃんがいる。大学デビューを果たし、有名ブランドのバッグやらコートやらを身につけたお姉ちゃんは、15歳の誕生日を迎えた私にこう言い放ったのだ。

「色気がない。まずは見えないところから着飾れ」

…と。そしてプレゼントと称した、きわどい…本当にきわどい下着を私に押し付けた。中学生に色気を求めてどうするんだ。色とかデザインは好きだけど、両サイドが紐になっているパンツとかベビードールだとか、流石に中学生でこれはちょっと…という下着なのだが、羞恥心よりも好奇心が勝ってしまった私は紐パンを身につけてしまったのだ。
はじめこそは絶対ほどけないように!なんてきつく縛った両サイドの紐だが、食い込みが酷かったため締め付けないくらいの緩さで縛ったのがいけなかった。
先生に頼まれ両手で教室へ荷物を運んでいた時、事件は起こった。片方の紐がほどけたのだ。直したいけど両手が塞がり直せず、パニックで泣きそうになるのをこらえながら目的地へ進む私に、突然声がかかる。

真田弦一郎

クラスメイトであり風紀委員でもある彼は目敏くも、スカートからぴろんと出てしまっていたらしいほどけた紐を見つけ、私の目の前にしゃがみこむとあろうことか「何だこれは」の一言と共に引っ張ったのだ!そして悲しいことにパンツがほどけ…る前に私の強烈で熱烈なローキックが真田にぶち込まれた。半泣きになりながら私は荷物を真田に押し付け、なんとか落ないように気をつけながらトイレへと駆け込んだ。

そしてこの日から、真田は私を付回すようになったのだった…。







「あ…のっ、さぁ!」


立ち止まって振り返る。息はきれぎれ膝はガクガク、睨みをきかせてこの原因を作った男を見つめるも、あまり効果はなさそうだ。息を整えて中学生とは思えない背丈の真田に迫る。


「なんで真田は私を付回すわけ!?」
「む、言ってなかったか?」


きょとんとする真田に眉間のしわが深くなる。そんな私をおいて真田は興奮気味に熱く拳を握り語り始めた。
スカートから出る紐がパンツだとは思わず、さらに蹴りまで入れられ、その時にほどけかけたパンツが見え、そして真田はなにかに目覚めたという。訳わからん。理解していないのを感じ取ったのか真田はもう一度同じことを私に言ったけれど、やっぱりわかんない。


「俺は思ったのだ…もう一度名字の下着を見たいと、蹴りを食らいたいと……!」
「あー!なるほどなぁ!だから私を付け回してたんだぁ!…ってアホか!とんだ変態ストーカー野郎じゃん!!」
「うむ、たまらん切り返しだな」
「……」


恍惚とした表情をする真田に思わずツバを吐きかけたくなったのは仕方のないことだろう。真田くんってちょっとかっこいいよね…なんて友達と話してたのが遠い昔のようだ。というか黒歴史だ。
大体蹴りを入れられたいってどういうことなの。痛いのが好きなのか、Mなのか。一瞬脳裏にSMプレイをする真田が浮かんで後悔する。なんてことだ…とりあえず暴力に走ってこの口を黙らせてやりたい……


「あ、真田は私の蹴り食らったらもうストーカーしない?」
「…そうだな、考えておこう」


こいつ、変態だけど嘘はつかないやつだと思うし…上を見ると期待に満ちた目で見てくる真田に背筋が凍る。怖っ!真田の顔怖っ!ぞくぅ…っと冷や汗が垂れてふと自分のしようとしていたことを思い出す。これに蹴り、入れるの?金縛りにあったみたいに動かない体に鞭打って、そっ…と真田の脛につま先をぶつけた。


「……」
「…よ、よしっ!これでいいよね!はい、おしまい!」
「何だこの真似は」
「ヒッ!?わああん!ごめんなさいこめんなさい!!」
「もっと力を入れて蹴らんかーッ!!」
「ごめんなさいごめんな……そっちかよ!!」


なんでそこで怒るんだよ!続けてこんなものじゃ下着が見えないとかぶつくさ言うので頭を抱えたくなる。何がここまであの厳格そうだった彼を変えたのだろう。パンツか、紐のパンツか。そんなに紐パンが好きなら自分で買えばいいのに。あ、でもなんとなく真田がランジェリーショップに入ったら通報されそうな気がする。いや、すごい偏見なんだけれど…


「真田さぁ…もう、さぁ…」
「なんだ、やっと本気を出すことにしたのか」
「いや、そうじゃなくて。あのとき穿いてたパンツあげるから、あの、もう許して」


私の言葉にピシャンと雷に打たれたかのような顔をした真田は唸りながら何か悩んだ様子で私をちらりと見て、そして複雑そうに顔を歪めた。


「…遠慮しておこう」
「え?なんで?真田はあのパンツにしびれたんでしょ?」
「それでは足りないのだ」
「はあ?」
「俺はお前が穿いている下着に興味があるのであって、例えば今お前が着用している下着を俺に差し出したならば喜んで受け取るが、洗濯済みの物を渡されても俺は…いや、それはそれでいいのかもしれないが、やはり俺はお前が穿いているのを見たいのだ。さらに言うのならば俺の脳天を激しく揺らしたあの熱烈な蹴りをもう一度受けたいというのもある。理解できないというのならば何回でも言おうじゃないか、何故だかわからないのだが、俺はお前の言うことならばできうる限りのことをしたいと思うのだ」
「お、おう…」


なんとなくかっこいいこと言ってるけど要は脱ぎたてほかほかのパンツくれ、あとパンチラ拝みつつ蹴りも食らいたいってことだろ?やっぱりドがつく変態じゃねーかっ!この変態、風紀委員は早く取り締まれよ。…あ、コイツが風紀委員だったわ…ダメだ、もうこの学校風紀乱れすぎ。やってらんねぇ。
ため息をついて見上げた顔に、またため息をしそうになる。最後の言葉には少しときめいたとか、これが付き合ったあとに言われた言葉だったらよかったのにだとか、そういうのは、絶対にこの中学生に見えないド変態には言ってやらないのだ。


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リクエストありがとうございました!紐パンを穿いたり真田が熱く語ったりと、なんとも変態くさい仕上がりになりましたが、楽しめたでしょうか?これからもよろしくお願いします!

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