フリリクありがとうございますっ!! | ナノ
確認よりも愛が欲しい

「名前」


彼が私の名前を呼んで見つめるとき、それはキスを乞う時だ。

彼自身が気づいているのかは知らないけれど、私はそれを見ていつも心の中でかわいいと思う。もう何回もしたのに慣れない素振りで、いちいち確認なんかしなくていいのにしてくる。そういえばヘタレとか言われてたなぁ。良く言えば奥手、悪く言えばヘタレ。私の方を見ようとしないで、顔が赤いのを隠そうとしてるのがたまらなくかわいくて、ついついいじめたくなる。


「ん」


わざとらしく彼の裾を掴んで背伸びをする。ちょっとあざといかな?でも、こういうの嫌いじゃないでしょ?そうするとわかり易すぎるくらい狼狽して、肩を揺らした。


「キス、しないの?」

「ッ言われなくとも、すぐしたるわ」


浪速のスピードスターなんて言ってるわりには、謙也は手を出すのが遅い。スローだ。女の子に慣れてないって感じ。そういえば初めてキスするときにおでこをぶつけてたっけ?今でもたまにあるから、はっきりとは言えないんたけれど。
意を決したのか、謙也はおそるおそる私の肩に手を置き、軽いキスをする。舌なんて入れないし、ほんの1秒くらいしか触れてないけれど、こんなキスで私は満足してしまう。固くつむった目をゆっくり開く謙也は恐ろしく綺麗だ。どんな人も霞んでしまうくらいに綺麗で初々しい。


「…なあ、名前からしてどうなん?」

「なにが?」

「俺とのキス、とかそういうん」

「……ま、テクはないよね」


私がそう言うと露骨にがっかりした顔をした。こんな触れるだけのキスにテクもなにもないだろうに。大体キスとか、なんて言ってはいるけど、私と謙也はそれ以上のことはしたことない。


「でも私、謙也とキスするの好きだよ」

「そういう励ましはいらんて」

「励ましもなにも本当のことだし。謙也キスする時すごくかわいいし」

「それ、褒めてると思ったら大間違いやからな?めっちゃ貶しとるからな?」


むくれる謙也がかわいくて、首に腕を回して耳元で囁く。謙也の落ち着いてきていた頬の赤みがまたぶりかえし、おずおずと私の頬に手を添えた。ゆっくりと微笑むみたいに目を閉じて、謙也、と彼の名前を呼ぶ。顔に当たる彼の吐息が熱い。

「かっこいいって思えるようなテク、見せてよ」



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今回はフリリクありがとうございました!謙也大好きなので、かわいくなれ〜かわいくなれ〜と念じながら書き上げました。これからもクロム共々、よろしくおねがいします。

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