すーすー
「……」
見えるなんてことはないけれど、思わずスカートの裾を掴んで伸ばそうとしてしまう。なんだか周りがみんな見ているような気がするのはきっと被害妄想なのだろうけれど…。
結局プールバックにパンツも突っ込んだ私は、ただ今下着を身に付けずに廊下を歩いている。この学校の制服が巻きスカートで本当に良かった。今まで普通のプリーツスカートが羨ましかったけれど、今はそんなこと1ミリも思っていない。巻きスカートのぶん捲れるなんことはないし、ちょっと心強い。
「苗字?」
「!?」
びっ………くりした!!振り返れば真田くんが不思議そうにこちらを見ている。右手でスカートを伸ばしつつも、左手で手を振ると真田くんも振り返してくれた。
「なぜそんなにもスカートを引っ張っている」
「え!?え、ええと…その、そう!スカート短くないかなぁ…って思って!」
あぶねぇ…!いい返答がちゃんとできてよかった!しかし私がそう答えると真田くんは先程よりもわからない、という顔をしてきた。
「そうか?短くは感じはしないが…」
まじまじとスカートを見つめる真田くんにヒッなんて悲鳴が漏れる。それと同時に顔が熱くなって、お腹のあたりからあったかくなるのを感じるという摩訶不思議な感覚を味わうことになった。あまりスカートを見ないでほしい…いや、いや真田くんには私がその、ぱ、パンツをはいていないって…知らないから仕方ないのだけれども!
(は、恥ずかしい!!)
「これなら今日の服装検査も通るだろう、気に病むことはない」
「…え?」
「む、抜き打ちだったのだがつい口を滑らせてしまった。ここのところ乱れた服装をしている奴がいると会議で話が出てな」
「そ…それって、いつ、ごろ……?」
「…仕方ないな。いいか、秘密にしておくのだぞ?昼休みの前だ」
昼休みの、前…?ごんとあたまを打ちつけられたような感覚がする。次が3時限目。それまでに、私はなんとかしなければ、最悪の場合誰かに私がノーパンということを知られてしまうかもしれない…ッ!?
「なんてこった…」
絶望に打ちひしがれるってこういうことだと、身を持って感じた。
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