死刑宣告
午後の授業も掃除も終わり、ついに!ついに!放課後である!!やったあ!!今日ほど放課後が待ち遠しかった日はないよ…。よし帰ろう、さあ帰ろう。隣の仁王くんにさよならと告げ教室から出る。
「苗字」
「あ、丸井くん!ジャージありがとう!ちゃんと洗って明日には返すからねッ!」
「おう!…じゃなくて、今から帰るんだよな?」
「そうだよ、いつもだけど今日は特に早くおうちに帰りたいしね」
「…送ってってやろうか?」
「えー?そんなの悪いし部活でしょ?んじゃ、私は帰るねっバイバーイ!」
「いや今日部活ない……って行っちまったか…」
家に着いたらまずはシャワーを浴びて、丸井くんから借りたジャージも洗濯して、ご飯食べてさっさと寝よう。今日のことは無かった事にすればいい。よし、あと少しで駅に着くぞ…!
「苗字」
「また丸井くん!?…ってあれ?柳くんじゃない。どうしたの、部活は?」
私を呼び止めたのは只今絶賛部活動中であるはずの柳くんだった。どうしてここに。もしかして部活の買い出しとかかな?
「今日は部活が休みなのでな」
「あ、そうなの?じゃあもしかして帰るところ?」
「それもあるが…苗字に用事があってな」
「私に?」
「ああ。そのジャージを着ているということは、丸井には告げたのか?」
「ん?」
「今、下着を着用していないということだ」
「!?!??」
な、な、ななっ何を言ってるんだ柳くんは!!というかなんで知っているの!?確かに柳くんは「お腹が減ったからたいやきが食べたい…とお前は言う」とかジョジョみたいなこと言い出すような人間だし、しかも的中するなんてエスパーみたいな所があるけれど、でもこれを知っているのは私と丸井くんだけのはず…!
「驚いているな、まあ無理もないが…」
「そりゃ驚くよ!!」
「俺がそのことに気がついたのには二つの理由がある」
「二つも!?」
「ああ。お前はいつも屈んだときスカート部分に下着のラインが出る、しかし今日はなかった」
「かがっ…ええ!?」
「ちなみにこれはお前が水道で服を洗っている時に確認した」
「声かけてよ!!」
思わずお尻に手を当てながら叫ぶと柳くんはその動作も予想の範囲内だ、なんて顔をして手を彼のカバンの中に突っ込んだ。そしてその手がカバンから出された時、私は、今日現在で一番死にたくなった。
「2時限目の終わりにお前が落としたものだ。この下着、間違いなく苗字、お前の物だろう?」
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