「マサー、あんたお昼ご飯どうするのー?」


午前11時半、そろそろ準備しなくちゃなというところでマサに声をかけるとソファでクッションと同化している彼は眠そうな声でいらないと答えた。マサが食べないとなるとメニューの幅は大きく広がる。
何にしようか、そうだこの前オレンジページに載ってたパスタ…なんだっけ、ボロネーゼ?おいしそうだったなぁ。野菜たっぷりで私が食べたいって言えばマサが嫌そうな顔でブーイングしてたやつ。ひき肉もあったしちょうどいいかも。


「お、あるある」


冷蔵庫を確認して見れば基本的な材料は揃っていて一安心。お湯を沸かしながら玉ねぎをみじん切りにしていく。どんなに美味しいであろうこのパスタもマサからすればそうでないって言うんだから不思議だ。もういい大人なんだし偏食は直した方がいいのに。ため息は次々と刻まれていく野菜にまぎれていく。
オリーブオイル…なんてシャレたものはないからサラダ油でいいよね。じゅうっとニンニクのにおいが広がってお腹が鳴る。みじん切りになった野菜もフライパンに入れて、ひき肉も入れていくと油のはねる音が激しくなっていく。あー…美味しそう。安売りでまとめて買っておいたトマト缶を入れて煮込むみたいに炒めていく。これが食べれないってマサはつくづく可哀想だ。


「なあ名前」

「なーに?」

「いい匂いがするのう」

「そうでしょ、食べる?」

「…考えとく」

「わっ珍しい!腕によりをかけなくっちゃ!…っていっても後はパスタ茹でるだけなんだけどね」


パスタ2束をグツグツと音を立てる鍋に投入して軽くかき混ぜる。マサがこういうの食べたいっていうの珍しい。あの偏食家がこれを期にいろんなものを食べれるようになればいいんだけど。





「…どう?おいしい?」


いただきます、とパスタを口にしたマサは何も言わずモグモグと咀嚼したままだ。自分でも食べてみたけれど結構美味しかったと思うんだけど…どうなんだろ。私を無視してマサはフォークを綺麗にくるくる回しパスタを巻きとっていく。あ、よかった。食べてくれるんだ。


「名前は料理を作るのがうまいのう」

「へへ、ありがと」

「これだったら毎日食べてもいいんじゃが」

「やだなぁ、それじゃ栄養偏っちゃうよ」


「……」


ふふ、なんて笑うとそう言う事じゃないとマサが私の横腹をつつく。どういうことなのかは知らないけれど、私はこうやってマサと一緒にご飯が食べられればなんでもいいよ。
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