「ねえ、悩みってテニスのこと?」
「いや違う。今までそういったことに悩むなんてことはなかったから、余計に」
「ならほっとこうよ。多分今の真田くんはテニスを一番にしておいて、全国制覇して、落ち着いたらもう一度そのことについて考えればいいんだよ」

わはは!まるで解決してねーじゃねーの!でもね、下手に考えるより、一番大切なことを頑張るべきなんだと思う。…私は、そうすることにしたから。学園祭が終わって、無事に主役も努めて、そうしたら…この悩みに、痛みに、楽しさに、歯止めをうってもいいんじゃないかって。

「後回しというのは、商に合わん」
「だろうね」
「だが…待っててくれるか」
「え?」
「待っててくれ」
「…うん、私ちゃんと待つよ。真田くんも待っててね、この悩み、劇が成功したら聞いて欲しい」
「ああ」

告白しよう。ちゃんと好きと伝えよう。友達なんかじゃなくて好きなのだと。真田くんは聞いてくれると言ってくれたから、しっかりと自分の気持ちを伝えたい。

「学園祭が終わったら互いに言うことにしよう」
「でもそれだと真田くんのこと待たせちゃうよ?」
「別にそれくらい、いい」
「ありがと…ね」

これは頑張らないとなあ。きっと忘れるためにしていた筋トレも、ランニングも、真田くんに伝えたいから…に、変わるんだろう。でもそっちの方がいいな。ずっと前向きで心が穏やかで、頑張れる気がする。


「しかしアイツの言っていたこととは逆になってしまったな…」
「ん?」
「ああ、隣のクラスの風紀委員なのだが。もっとおま…いや、女に優しくしろと言われたのだ」
「へ、へえー…」
「結局はお前に優しくされて…絆されて。いや、だから前にすすめるのだがな」
「それは……ねえ、その風紀委員ってもしかしなくても、女の子…?」
「ん?ああ、そうだが」

それって休み時間に見かけた、あの場面の?その子の言うことを聞いて女の子に、優しくしようとしたの?その子は…真田くんにとって……、

「佐藤?」
「あっ、ごめんね!なんでもないの…ところで真田くんってどうして体育館に?」
「ああ、クラスの係で体育の準備をすることになっていてな」
「そうだったんだ…そうだよね。邪魔しちゃってごめん!それじゃ、私行くね!」

私ってば、意志が弱いな。さっきまで考えて、決意したことなのに揺れてる。ねえ真田くん。好きですが遠いよ。




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