「ジャッカルとは、どういう関係…なんだ?」

そう言った途端に、何を口走っているんだ、と思った。確かに、気にはなっていた。どういう関係なのか、もしかして恋人だとか、そういう類なのではないか、と。だからといって俺は聞くつもりはなかったはずだ。どうやって弁解をしようかと佐藤を見れば驚き、呆れた顔をしている。
どくり。
嫌な心臓の音だ。佐藤と話している時の、いつもの鼓動ではない。血の気の引くような、そんな、

「真田くん」

彼女の声に思わず目を見開く。もしや、彼女に失望されてしまったのではないか。この話題は彼女にとっての禁句であり、地雷なのでは?彼女の、口が言葉を紡ごうとする。初めて、声を聞きたくないと思った。

「悪いけれど、私とジャッカルくんはただの友達だよ。だから、多分なんだけど、想像してる甘ったるいのとは違うというか…」
「は?」
「あ、あれ?私なんか変なこと言っちゃった…?」
「いや、なんでもない。そうか、友人か…」

最近たまに聞かれるんだ、と苦笑いする佐藤を見て、少し心がホッと軽くなった。どうやら、俺は考えすぎていたようだ。友達。そうか、それなら俺は…俺は?どうするんだ?どうしてホッとしたのか、俺にはよく、わからない。

「真田くんのこともね、聞かれるの。その度にちゃんと友達って返しているんだけどね。そうすると今度は連絡先知ってる?って聞いてくるの。ふふ、真田くんってモテモテなんだね」
「お、俺…か?」
「うん。こうやってお話してるのが気になるみたい。いいなぁ、私きっとモテモテになることなんてないだろうし」
「別にモテモテ…には、ならなくていいだろ」
「うわっ、ひどい。私だって好きです、とか連絡先教えて、とか…言われてみたいなぁ。まあそんな予定全くないんだけれど…」

そういうもの、なのか?モテモテだと言っても、俺の本質を見抜いて言っているやつはいるのか?ただ騒ぎ立てているものなのではないか?佐藤は、それが羨ましい、のか…?

「でもね、もし付き合うなら…私は私を見てくれる人がいいな。いろんなところをひっくるめて、好きって言ってくれる人がいいなぁ」

ああ、佐藤はもしかしたら似ているのかもしれない。俺と何もかも違うが、思っていることは、俺と一緒なのではないか。そしてそんな佐藤を俺は

「好きだ」


佐藤の持つ野菜ジュースが、彼女の手の内からするりと抜けた。


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