ジャッカルくんは私に「なにかあったら」と言ったくせに、割とどうでもいいことをメールで送るようになっていた。
そのくせ私がメールを返信すると愛想がなそっけないと非難をつけてするのだ。シンプルイズザベスト。簡潔にわかり易くがモットーなのでそんなことを言われても困る。
「あ、メールきてる」
部活が終わりケータイを見るとチカチカと着信を知らせるランプがついている。
ジャッカルくんだ。生物の課題の範囲について教えてくれ、とのこと。ええと、たしか……
「部長ってテニス部の人と仲がいいんですよね?」
「え?」
突然話しかけられたからか間抜けな声がでた。段々と打ち解けられてきた一年生の子である。
「なんか噂になってるんですよね、部長がよくテニス部の人と話したりご飯食べてるって。本当なんですか?」
なにその噂は…。テニス部って言ったって私の知ってるテニス部よ知り合いは真田くんとジャッカルくんの二人しかいない。噂の起きるようなことはしていないのになぁ…彼らがテニス部だから、なのかな。
「確かに話したりご飯食べたりはするけどテニス部の一部の人とだし…そもそも仲がいいって程でもないような…」
そうなんですか、と言った一年生の言葉を聞き、バイバイと挨拶を交わし教室に戻る。課題のノートを置いてきてしまったのだ。
「…ん?」
自分の席につき、カバンにノートを入れる。よし。これで大丈夫。……問題は別にあった。
ジャッカルくんの机に置かれた一冊のノート。紛れもなく明日提出予定の生物のノートだ。生物って書いてあるし。どうしよう、もしかして提出用とでわけているのかな…いやでも…
「と、とりあえず…」
ポケットからケータイを取り出し電話帳を開く。さ、し…あった。目当ての名前を押し、コール音が私の耳をくすぐる。
『もしもし?』
「あ、も、もしもし…?私です、佐藤です」
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