「佐藤さんって真田くんと仲いいの?」

最近よく聞くフレーズである。

「真田くんの連絡先教えて?」

そして次に良く聞くフレーズである。



どうやら真田くんは女子にモテるらしい。

「で?最近真田とはどうなんだ?」
「だからどうもこうもないって」

桑原くん改めてジャッカルくんは(桑原呼びはムズ痒いらしく、こう呼べと言われてしまった)お昼休みに私の席に来ては真田くんについてを聞きながらご飯を食べる、ということが多くなった。その度に本来一緒に食べるはずだった友人は気を使い、私は昼休みが終わるまで延々と真田くんについて語らせようとさせられるのだった。

「メールとかしてんだろ?」
「してない」
「嘘つけ」
「本当だって。私真田くんの連絡先知らないもん」
「…マジ?」

どうして周りは私が真田くんの連絡先を知っていると思っているんだろうか。知ってるわけない。そもそも私と真田くんでそう言う話をしたことがない。

「そういやオレも佐藤のメアドとか知らねぇや」
「そりゃ教えてないもん」
「この機会に交換するか?」
「ちょっと待ってて、ケータイ出すから」

カバンから取り出して電源を入れた。ジャッカルくんが真面目だな…とつぶやいたけど無視する。授業中に着信音が鳴ったら…と思うとぞっとする。
そのまま赤外線で交換し、私の数少ない電話帳にジャッカルくんの名前が登録された。

「…人のメアドにケチつけんのもあれだけどよ、佐藤流石に初期のまんまってのは…」
「べつにいいじゃない、これね電話番号覚えやすいんだよ」

そうだろうけどよ…とジャッカルくんの呆れたような声にくすくす笑ってしまう。友人や部員の名前に挟まれて『ジャッカル桑原』と登録されているのがなんだかおかしい。…そういえばこうやって男子の名前を登録したのは初めてかもしれない。そう思ったら、あれ、なんか急に恥ずかしくなってきた…なんでこんなことで照れているんだ…たるんどるぞ佐藤…ッ!

「まあとりあえずなんかあったらメール…って何照れてんだよ」
「え、あ、いや…その…こうやって男子の名前を登録したのは初めてなもので…」
「お前…そんなんで照れてどうするんだよ…」
「…別に好きで照れてるんじゃないもん」



prevnext

サイトTOPへ
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -