しん…と教室内が静まり返った。明らかに私の声が原因だ。つい勢いで立ち上がってしまっていたらしく、スカートを直しながら席に着く。…か、顔が熱い。なんで、なんでこんなことになったんだろう……

「あ、あの…ごめんね急にたったりして…」
「あ、いや…んで?」
「え?」
「結局はどうなんだ?」

まだ続けるの!?これを!?
大体、真田くんがなんなんだ。そんなの知らない。私と彼に何を求めてるの?そもそも私はついさっきまで名前すら知らなかったのに!?

「どうもこうも、なにもないよ」
「でもさっき話してたじゃん?」
「…だから?」
「佐藤は知らねぇかもだけどよ、真田って女子の話とかしても『くだらん、たるんどる!』…とか言って一蹴するんだよ、なのにわざわざ真田本人が来て女子と話してんだぜ?」
「そんなこと言われたって…ただ単に名前を知ってる人って認識だし、そんなこと言われたって…その…困る…」

つまり桑原くんは真田くんの浮ついた話が欲しいんだろう、けど…それはない。うん…

"たまらん演技だった"

「!」

な、なんで今思い出すの、こんな言葉…!たまらん…そういえば桑原くんの話の中にたるんどるとかなんとかあった気がする。もしや、もしや、たまらんって、真田くんの口癖かなにかなの…?

「あ、あの桑原くん…」
「ん?」
「真田くんって割と…その、たまらん…とかって言うの?」
「は、はぁ!?というか佐藤、言われたのか!?」
「ええまあ…」
「まじかよ!?」

そう桑原くんが言ったのと同じくらいだった。

「あ、チャイム…」

私が呟くより早く、がたんがたんと机を戻し、にやけた顔で桑原くんは去っていった。嫌な予感しか残らない。とりあえず次の授業はふて寝することにした。


prevnext

サイトTOPへ
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -