カレイドスコープ


ついに、ついに…手紙を渡してしまったぞ!ゆみこ先生に!!しかもいろいろと言ってしまったぞ!!
ちらっと喜多川くんを見ればぼんやりとして、でも顔は少し赤くて、あ…もしかして照れてるのかな。ゆみこ先生はファンと直接合うようなサイン会とかに参加したことなかったはずだし。生のファンは私が初めて…とか…?


「あのっ」
「は、はい!」
「私まさかとは思ったんだけれど、でもこうやって伝えられてすごく嬉しいです」
「ウン…俺も嬉しいです…」
「本当にね、好きなの。好きというよりは大好きって感じで…ごめん、私ちょっと気持ち悪いかな?」
「いや、そんなことはまったく…」
「ッよかったあ!」


あまり話したことはなかったけれど喜多川くんが人の良くてよかった。気持ち悪いとか言われたら本当に立ち直れない。割と気持ち悪いファンということは自覚しているんだけどね、ハハハ…






「エッ…仕事場にお邪魔してもいいの…?!」
「あっいや!ミョウジがよかったらなんだけどさ、その、オレ、ファンって初めてだし、よかったらッそう、よかったらなんだけどさ!よかったら今日とか来ないかな…っ…て……」


次の日、なんだかもじもじした喜多川くんに釣られてもじもじした私に投げかけられた言葉は、思いもしない夢のようなお誘いでした。
行きたい、ものすごく行きたい…!
けれど喜多川くんの仕事場ってそれはつまり喜多川くんのお宅で、そんな急にお邪魔してもいいものなのかな…そもそも私は今日部活があるじゃないか。どうする私、部活を休むか喜多川くんのお宅訪問に行くのか。な、悩ましい…


「あの、私が急にお邪魔したら御家族が驚いたり文字通りお邪魔になったりしないかな?」
「大丈夫だって、ミッキー生意気にひとり暮らしだし」
「ひとり暮らしかぁ…すごいね喜多が、ッ!?ふふ藤原さん!?」


びっくりした…なんでここで藤原さんが私達の会話に乱入してきたのかはわからないけれど、いきなり過ぎてまだ胸がドキドキしてる。三分の一くらいは恐怖で、だけど。


「でも、そっか…ひとり暮らしなら大丈夫だよね。よかったよかった、それなら安心できるや」
「おいミッキーこの女ひとり暮らしの男の家に誘われて安心とか言ってんぞ」
「バッ…藤原!!違う!違うから!別にミョウジをどうこうしようって思ったりはしてないから!」
「うん…わかってるよ喜多川くん…だからそんなに慌てなくても大丈夫だよ…」


だってまさか、私を喜多川くんがそういう目で見ているわけが無いし…藤原さんの言葉に慌て戸惑う喜多川くんをなだめ、思わず苦笑い。それを見た藤原さんがすごく悪い顔…そう、例えば隣の席の男子にテストの答えを見えやすいようにしろと言っている時とか、メガネの男子を狩ろうとしている時とか、そういう時に見せる顔をしてにやりと綺麗な顔で笑うのだ。そしてそっと、喜多川くんに何かを耳打ちをして。


「おま、何言ってんだバカっ!」


耳打ちされた喜多川くんは顔を真っ赤にしてひどく怒っている。あの温厚な喜多川くんをどうやったらここまで…ポカンとする私をおいて二人はギャンギャンと言い争いをし……私、ここにいる意味あるのかなぁ…



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