▼ キスの息


シャワーを浴びるか浴びないか聞くけれど橘はあまり乗り気そうじゃなくて、でももう吹っ切れてしまった私にはそんなこと、どうでもよかった。麦茶を出し橘に渡す。先にシャワー浴びちゃうね、という私の言葉に橘は何も答えなかった。




「今日は暑いね、すごく暑い」
「じゃあやめるか?」
「ううん、やめないで。お願いだからさ」


流石にシャワーに入ってしまうと腹を括ったのか、少し濡れた指で私に触れた。私を見る出しの顔は真剣そのもので、ギッと射貫くような眼差しに震え上がる。今思えばこの目に惚れたのかもしれない。シャワーを浴びたのにもう汗が出てきそうなくらい暑い。
橘の手が腰に回る。こういうのは、よくわからない。私は男子とこういったことをしたことがないし、任せるしかないから所謂マグロになってしまうだろうし、ひどく緊張するし、誘っておいてひどい様である。橘は何も言わずに私をベッドに運ぶ。ついに、きてしまった。


「あの、服脱いだ方がいい?」
「いや、いい」


そうか、橘は脱がしたい派か…と馬鹿なことを考えていると、橘の手が、私の胸に触れた。おおお…揉まれている…なんというか気持ちがいいというよりはくすぐったい。ただ、たまに自分でもびっくりするような感覚がぞくりとくるので、その度に恥ずかしくなる。何か言った方がいいの?おっぱいきもちいよお、とか?うーん馬鹿っぽい。
橘の顔はよく見えなくて、それが少しさみしい。橘の手はどんどんと下がっていって、ついにあそこまできてしまった。下着を脱がされて、もうすっぽんぽんの私はなすがままである。


「えっ!?」
「ッもしかして今痛くしたりしたか?」
「いやっ!?ちが、違うの!ただその何というか…その……」


恥ずかしい!今、わたし海老反って、しかも声出した…?橘が触れたとき体がしびれたかと思ったくらい、すごく、気持ちが良かった…言えないけれど!言葉に詰まった私を見て橘なりに理解したらしく、それからはお互いに息を荒くして、私は体を震わせるばかりで、気がつくともう入れる手前だった。


「ゴム、私が付けるよ」
「…じゃあ頼む」


自分で言って頼まれたけれどよくわかってないんだよなぁ…。パッケージを開けてかぶせ…うわ、橘のちんちんでっかいな…勃起してるからもあるだろうけどこれ大きい方でしょ…ゴムをのせこんな感じかなーといったかなりアバウトな付け方だけれど何とかできたっぽいぞ。橘を見ると、なんかちょっと辛そうで、そりゃこんだけ腫れてるのなら辛いだろうな…


「できたな」
「うん」
「いいか」
「どうぞ」


ゴムを付けるために起き上がった私をもう一度押し倒してキスをした。ここからが本番だ。ギュッと手に力が入る。やけに寂しかった心はもうなくなっていて、今はどちらかというと罪悪感の方が強い。ごめんね橘、こんな都合のいいことしちゃって。でも橘に抱かれてるって思うと結構しあわせだよ。

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