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▼ Trap of love

参謀、という厨二病発症してます感漂いまくりのあだ名…いや、通り名?がついている我が彼氏、柳蓮二はいつも落ち着いている。冷静沈着、余裕しゃくしゃく、地蔵みたいなやつで、まあもちろん嫌いじゃないし蓮二のそういう落ち着いてるところも結構好きっていうか…でも、だ。やっぱりそういうやつの慌てているところが見てみたい。


「さて、どこに行くんだ?」


データ野郎なのは知っている。ならばそのデータを覆すまでである。難易度は高いけれどデータにないものをお前に見せてやるよ、柳蓮二…!
久しぶりのデート。お前が行きたいところでいいという、なんとも男前な発言を頂いていたので駅前のケーキバイキング!とか映画館!とかいろいろと言っていたのだ。この柳蓮二にひと泡ふかせよう作戦を考えつくまでは。きっとこのまま出かけると考えているだろう?考えているんだろう?ならばここはあえての


「私の家なんてどうかなッ!」


…これだ。家に招いたのは初めてだし、きっとこれは驚いてるぞ。どれ、蓮二の顔を見てみるか…ん?あまり変わらないなぁ。心なしか表情筋がピクリとした…ような…って感じ?


「…いいのか?」
「え?うん、まあいいけど?」
「まさかそう来るとはな」


驚いていないように見えるけれど内心は驚き桃の木20世紀なのかな。なにかをブツブツ言ってる蓮二の手を取ってマイホームを目指す。ふふん、いつもは絶対に私から繋がないからね!びっくりしたでしょう!しかし私に速さを合わせる蓮二の横顔はいつもと全く変わらない物であった。こんなんじゃだめか…





「はい、飲み物」
「ああ、ありがとう…コーヒーか」
「蓮二はコーヒーきらいだった?変える?」
「いやそんなことはないが…お前の方は平気なのか?ブラックは飲めなかったと記憶しているが」
「実はもう砂糖が入っていたりして」
「なるほどそういうことか」


誰もいない家に着き、蓮二を部屋に通してからキッチンから飲み物を運び入れる。ここももちろんあえてのコーヒーである。本当はお茶が飲みたかったし、多分蓮二もお茶の方が好きだとは思うけれど、驚きポイントのため我慢も必要なのだ。蓮二の隣に座ってコーヒーを飲む。苦い。砂糖を入れても苦い。…やはりこんなところで驚かせようとしないで普通にお茶にすればよかった!!私のバカッ!!


「想像通りだ」
「でえっ!?」
「こんな部屋なのではないかと思っていたんだが、やはり大まかなところはあっていたな」
「うわあっ蓮二すごい!っていうかそんなこと考えたいたの!?」
「…ダメか?」
「別にいいけど」


部屋の内装当てるとかすごいな。どんなデータの取り方をしたらそんなことができるんだ…データ野郎の異名(といっても私しか呼んでないんだけれど)は伊達じゃないのね…


「さて、気が済んだか?」
「なにが?」
「俺を驚かそうとしていたんだろ?」
「な、なぜそれを…」
「終始にやけていたからな、こんなにわかりやすければ赤也や弦一郎でも気づく」
「ええっ!?そんなにわかりやすかった!?…というか地味に二人に対してひどいな…」


作戦はとっくに失敗していたようだ。やはり立海の誇る参謀でデータ野郎はとんでもないやつだった。


「だが、なまえがいつになく大胆だったのでな。ついそのままにしてしまった」
「ちょっ!わざと!?」


犯人をあえて泳がせる刑事か。チクショウひと泡ふかせたかったのに…!こうなったら強行手段でいけないだろうか。もうどうにでもなれ。蓮二にぐっと近づき脇の下に腕を通してホールドするみたいに抱きつく。少しだけ蓮二の体がぴくりと動いて思わずニヤリとする。


「…あのさ、大胆な私じゃダメかな?」


抱きついたまま無理やり大きな体を床に押し倒す。抵抗できるはずなのにしないってことは、きっと蓮二はもうこの状況を分析してるか楽しんでるかのどちらかだ。…いや、両方だな。あー、悔しい。結構緊張してるんだから。それも何もかも、蓮二はとっくにお見通しなんだ。


「…お前には振り回されてばかりだな」
「え?」
「すまない、質問に答えていなかったな、大胆なのもいいがたまにだけにしてくれ。身が持たん」
「れんじ、それ、」
「わかっているつもりでも、なぜかいつも狂うんだよお前といると…ああ、もちろんいい意味でだぞ?」


蓮二、あんたいつも通りですって顔して本当は私と同じ…いや、それ以上緊張してたりしてたの?ポーカーフェイスだかなんだか知らないけどさぁ、もっとわかりやすくしてよね。そしたら私もっと蓮二のこと好きになるのに。もっと蓮二のこと知りたいのに。…ああ、あんたがデータをとってる理由、わかったかも。私も蓮二のことならデータ集めたいもの。
押し倒したまま、まぶたの下にキスをしてわざとらしく、ちゅうっ、なんて音をつけてみる。今日一番驚いた顔をした蓮二の髪にまたキスを落とせば、蓮二が私の名前を呼んだ。ばか蓮二の話なんて聞いてやらん。最後にちゃんと唇にキスをしてから蓮二の上へ、抱きつくみたいに覆いかぶさる。重くっても文句言わないでよね。耳の下にちょうど蓮二の心臓があるのか、やけに早い鼓動が伝わる。耳を離して蓮二の顔を見ると、ああ、やっと、やっとあんたの照れた顔を見れた。


「ところでだ、お前は先程大胆な私じゃダメかと聞いたな」
「え、うん」
「ならば俺も聞こうか。大胆な俺じゃダメか」
「だ、だめじゃない…けど…」


私の答えと同じ時にぐるんと視界が回る。下にあったはずの蓮二の体も顔もみんな上にあって、どうやら簡単に形勢逆転されてしまったようだ。


「お前には男を部屋に入れて、おまけに誘ったらどうなるか、きちんと教えなければな」


やられた。
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