||| plus alpha ※人狼ゲームのパロディ どうしてこんなことになってしまったんだろう。わたし達は村で暮らしていただけなのに。 「真田くん」 わたしが呼ぶと彼は振り返り、なんとも言えない顔をしてわたしの名を呼んだ。今日の処刑が終わった。ロープに吊るされ命の絶たれたあの人は、真田くんとも仲のよかった人だ。私の友達だった彼を真田くんに紹介したこともあるし、話だってしたことがある。なぜ、こんなことに。 わたしの住む村に人狼による被害が出たのは少し前、そして一昨日、国から人狼ハンターを送るので到着までどうにか持ちこたえろとお達しが来た。村の広場に話し合いの場を作り、疑わしい者を処刑して翌朝を震えて待つ。人狼が何人いるのかはわからないが少なくとも一人はいるようで、毎晩毎晩人が死んでいっている。 「真田くん、わたしきっとあなたと話せるの、今しかない」 「そんなことを言うな」 「ううん、いいんだよ、優しい言葉をかけてくれなくて。多数決でギリギリ死ななかったけれど…明日になったら処刑される」 自分自身が人間だというのは良く知っているけれど、私の死刑は免れないだろう。彼に話しかけている今ですらわたしに向けられる視線は厳しく鋭いものだ。 私は占い師がクロと判断した人…今日つるし上げた彼と仲が良かった。だからお前も人狼だろう、そう言われたのは今回の話し合いでだ。否定すればするほどみんなは疑いの視線をかける。わたし、死ぬんだなぁ…そう思った瞬間わたしの中の何かが崩れ落ちた気がした。 「真田くん、今までありがとう。わたしあなたといられて幸せだった」 とびきりの笑顔を見せ走って家に戻る。真田くんはわたしを追っては来なかった。当たり前だけど少し寂しくて。これからの恐怖と混じって涙が溢れた。 「さなだ、くん?」 机の上で泣き疲れ寝てしまったらしい私はドアの開く音で目覚めた。鍵をかけておいたのでこの家の鍵を開けられる人物は一人しかいない。 「どうして…あなたまで疑われちゃうよ」 「そうだな」 「そうだな、じゃない!わたしそんなの嫌だよ!なんで、なんで来たの!?」 「お前を」 スッと息のする音、そしていつもと変わらない優しいトーンで真田くんは続ける。 「お前を、食べるためだ」 Feb 02, 2014 10:49 browser-back please. |