||| plus alpha 「きみ、鳳長太郎くん?…そう、よかった。今きみ学生手帳落としたの気がつかなかった?まあそうだよね、気がついてたら拾ってるか。…え?いいよお礼なんて。名前?そんな、別に名乗るほどのことじゃないし。じゃあ次はもう落とさないようにね」 俺、自分で言うのもあれですけれど結構真面目だとは思うんです。授業中も寝ないし提出物もきちんと出すし。まあ、当然のことなんですけれど…けれど今日全然集中できなくて。朝出会ったあの人のばかりずっと考えているんですよ。その人、俺の落とした学生手帳拾ってくれて、それで名乗らずに去っていって…。それから俺ちょっとおかしいんです。どうにかしたいけれど、でも、こんなこと誰に言えばいいのかわらなくて。それでこういう時はもう宍戸さんに頼るしかないんじゃないかなって思いまして!ね、宍戸さん、俺どうしたらいいんですかね!?」 「ね、って長太郎…」 「その人すっごくかっこよくて男前で…思い出すだけで惚れ惚れしちゃうくらい凛々しかったんです…」 「!?」 「宍戸さん、やっぱりこれって恋とかそういうのですかね、きゃあ!」 「バッ…はやまるな長太郎!はやまるな!!」 どきどきした心臓のまま相談すると、何やら深刻そうな顔で俺の肩をつかみ、ただ「はやまるな」と言う宍戸さん。なるほど、こういうことは焦らず急がずはやまらず、じっくり行けっていうことですね!さすが宍戸さん、いつも俺のためになることを言ってくれる!よし、まずはあの人を探すところから始めなくっちゃ… 「き、気の迷いとかじゃないのか?」 「いえ、今決心がつきました。この思いは本物ですよ!」 「そうか…そうか…」 「はい!」 あの人を見かけたことがないから俺と同じ学年じゃないと思うし、制服は年季が入っているというか、真新しい感じはしなかった。だからきっと3年生だ。宍戸さんは知ってるかな、もしかしたら同じクラスとかそういうことって…うわあっなんだかそういうのって運命みたい…ずるい…でも俺だって負けてない。あの人の手がかりは少ししかないけれど、必ず探し当てるんだ。ああこれってまるで 「シンデレラみたい…」 「…長太郎がか?」 「えっ!?やだ宍戸さん何言ってるんですか!確かに王子様って柄じゃないですけど、彼女を探し当てて…ってほら、シンデレラっぽくないですか!!」 ちょっと夢見がちすぎるかもしれない。童話のキャラクターに自分を重ね合わせるなんて、おままごとをする女の子みたいだ。けれど結末はその童話のようになったら…それってすごく幸せだし嬉しい。 「あ、そういわれてみれば…ん?彼女?」 「ええ…本当に素敵な女性で…せめて名前だけでもわかればいいのに。きっと彼女に似合う素敵な名前なんですよ!きゃあ!どうしましょう宍戸さん!」 「どうしようもねぇが…そうか、そうだよな、女に決まってるよな…よかった…」 --- 宍戸さん「長太郎が男に惚れたのかと思って目の前が真っ暗になった」 Jan 04, 2015 23:05 browser-back please. |