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君との出会いはDestiny
兄はギャングのボス補佐だ。いや、突き詰めて言えばただの変態だ。
君との出会いはDestiny
兄は恋人が好きすぎて恋人を崇めるチームを作ろうとし、今や地域一のギャング『ミルキーブラック』を作った。もちろん恋人つまり黒鴉さんをボスにし、自分は補佐として彼を崇めている。
オレはそんな変態マジョルカの弟、ルリカだ。名前こそ女っぽいが正真正銘の男である。むしろ兄より男らしいと思っている。
なよついた考えは男にあるまじきである。
兄が黒鴉さんにかっこいい所を見せようとしてまたやり過ぎた。
いい加減にしてほしい。黒鴉さんはすまなそうな顔をしながら兄をシバいていた。正直兄より黒鴉さんを尊敬している。
兄がやり過ぎたときのストッパーはオレか黒鴉さんだ。だから、いつ何が起こってもいいようにオレはよくたまり場に来る。ギャングに入ってるわけじゃないけど。
そしてミルキーブラックのたまり場周辺では抗争がよく起きる。
そこにはだいたいPMが駆け付ける。
今だってそうだ。
「君、名前言いなさい」
「やだよ」
「ギャングの一員の名前は控えないといけないの。君みたいな若い子も」
オレは一員じゃない。なんで巻き添え食わなきゃいけないんだよ…!
「だから言ってんじゃんオレはマジョルカの弟!ミルブラは入ってない!」
「嘘くさい」
なっにっさっまだコイツ!!
「だからさっき名乗っただろう、ポケモンミリタリーの紫苑だ」
「…正義のPMが疑ってかかるなんて最低だな」
「……本当にメンバーじゃないのか?」
そのあと黒鴉さんに説明してもらって(PMも黒鴉さんの実力は知ってるし、黒鴉さんとは昔馴染みらしいから信用するっていう)オレがマジョルカの弟でメンバーでないとPMの野郎は信じたようだ。
「すまない。疑った」
「…や、いいよ別に」
素直に謝られると対応に困る。
「思い込んだら人の話を聞かなくなるタチでな、嫌な思いをさせただろう。本当にすまなかった」
「いいって言ってんだろ」
それから何度か兄関連で顔を合わせたり街中でばったり会ったりすると少し会話するようになった。紫苑さんは最初こそうざかったけど、真面目で優しいヒトだった。たまに変なところもあったりするけど。
ミルブラは変な奴ばっかだしむしろ馬鹿ばっかだし、オレがマジョルカの弟だからか皆だいたい一歩引いてた。でも紫苑さんはそんな線なんて気にしないでオレを兄抜きで考えてくれた。
そんなヒトに、惚れるなって言うほうが、無理だろ。
自信はないけど、多分恋だろうこれは。紫苑さんを見ると嬉しい、でも何口走るか分からないから会いたくない、でも会いたいって思う。うじうじ悩んだりする。これじゃ全然男らしくない。
紫苑さんがPMの女と一緒に居るところを見たときなんて泣きたくなった、ただの顔見知りなのにね。
「ルリカ君」
「…何」
今日も今日とて、ばあさんの道案内をしていた紫苑さんを見つけて話しかけた。なんでこんなキャピキャピしてんだオレ。
で、公園でサイコソーダ買って一息ついている。PMは警察みたいなところだけどいろいろと緩い組織だから公園で休憩とかザラだ。
なんかデートみたいだと思いながら紫苑さんの隣に座るなんて最近じゃ慣れたものだ。嘘慣れてない、ほんとは『デートみたい』じゃなくて『デート』したい。緊張するし、ほんとは手だって握りたい。ほんとは好きだって伝えたい。
「君といるとなんだか安心するんだ」
「そう」
「…気持ち悪いかもしれないが伝えておきたい。君が好きだ」
頭がかっとなった。
「なんでオレが悩んで言えない言葉言うんだよ!なんだよそれ冗談だったら殺すぞ!?女顔だからってそれ言ってんだったら、」
女顔だから男に言い寄られたことがあった。いかにも遊んでそうな奴だった。勿論病院送ったけど。
「冗談なんかじゃない!冗談で告白できるほど俺は軽くない。君を女みたいだと思ったことはない」
「じゃあオレに抱かれてもいいのかよ」
なんか変な方向に行ってる気がする。こんなことが聞きたいんじゃない、紫苑さんがオレを好きだって言うから。冗談なんか言う人じゃないってのは分かってるのに、今だって真剣そうな顔して、でも信じられないんだよ。
「君が、だ、抱きたいなら…」
「…!!」
い、今の言葉きゅんと来た!紫苑さんのことはかっこいい人だとは思ってたけど可愛いって思ったのは初めてだ。こんな可愛い人だったんだ…え、オレ紫苑さんになら抱かれてもいいって思ってたけどむしろ抱きたい。今襲いたい。
「こんなおっさん君には釣り合わないけど」
「紫苑さん、気持ち悪くなんかない。釣り合わなくなんかない。…オレも好きです」
大好きです。
…これはきっと運命だよね。兄に感謝してもいい。
終わり
当初の予定からずれてしまいました。
最初は紫苑×ルリカだったのにルリカ×紫苑になりました。もしかしたらリバップルだけど
真面目受けの年下攻めですね^^
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