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light.前編


外が怖かった。


『外』というのは俺の在る世界以外のことで、『外』の言う外が俺の在る世界だというのは『外』に出てから知ったことだった。


俺は生まれた時から一人だった。
いや、従者が何人かいた。従者は俺を懸命に導こうとした、明るい方へ。ただ俺には彼等のいう明かりを理解出来なかった。
だから彼等は俺が成人する頃には外へ出て行った。暗いこの世界に嫌気がさしたのかも知れない。






その頃の俺は感情がなかった。

ただ一つだけ怖いという感情だけあった。



自分以外が、怖かった。








俺の世界は楽だった。俺が描く世界、俺が望む世界、俺が創った世界。

外部から侵入する者がいたら制裁を加えた。殺しはしない、俺の世界が穢れるから。



一度だけ珍しく人間が入って来たことがある。俺が創った世界が珍しいというような顔をしていた。


その人間は言った、俺と同じ世代の貴族が俺が原因で戦争を始めたと。
知ったことかと言ってやった。俺は俺の世界が、俺の望むものであればいいのだ。

その人間はこうも言った、私の愛するものが壊れてしまうと。あなたがこの世界を愛するように私も私の住む世界を愛しているのだと。あなたも愛するものが壊れるのは嫌だろうと。



その言葉で初めて気付いた。俺はこの世界を愛しているのだと。




それでも人間の言葉に従ったのはただの気まぐれだったと思う。

初めて出た外は、一言で表せば“多彩”。まばゆくて正直もう出たくないと思った。そして喧嘩していた奴らを止め、また俺の世界に戻る。
少し色が少ないが、俺は愛する世界に満足していた。





だがそれも数日で終わった。

あの人間が一言も礼に来ないのだ。お前の為に俺がわざわざ出向いたというのに、なぜお前は来ない。
待てども人間は来ない。苛立ちが募る。お前に会ってから感情が増えるばかりだ、恐怖だけだった俺が、愛と苛立ちを知ったのだ。
全てあの人間のせいだ。



お前が来ぬのなら、俺から行ってやろう。来なかったことを悔やませてやる。

人間の名は確か、ルイだったか。





続く




出会い編前編。
主人公はルイちゃんといいます

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