text
  


赤色症候群


奴はムカつく。









赤色症候群










いつもヘラヘラヘラヘラ笑ってオレを蔑む。オレが頑張っているときは毎回からかう。寮の部屋が隣だから勝手に部屋に入ってきては馬鹿にする。
つまり奴、朱丸は最悪野郎だ。

こないだなんてオレが技の勉強していたら、音も立てずに入って来たアイツが耳に息吹き掛けたんだ!キモいキモい!思い出すだけで鳥肌が立つ!


それだけじゃない、下卑た笑みを浮かべてる癖に実力はある!これが一番腹立たしい!
例えばオレがバトルで苦戦しているときにあとからしゃしゃり出てはサラっと片付けていく。あああムカつく。お前なんか

「お前なんか氷漬けにされてしまえ、っと」

オレの日記は愚痴が盛り沢山である。主に朱丸について。


「…そろそろ寝」
「何それ俺へのラブレター?」
「るわあああああ!!!」

机に向かって日記をがりがり書いていたオレの背後から覗き込んでくるのは言わずもがな朱丸。
また不法侵入かよ死ねよ。鍵かけてんのに入ってくんなよ死ねよ。


「ちょあっ!み、見るな!」
「何ー恨み言?そんなの書いてるから根暗って言われんだよ」
「言われねーよ!」
「じゃあみんな気使ってくれてるんだ」
「黙れ!早く出てけ馬鹿野郎!」

人の気にしていること(みんなが実はオレのことを根暗だと思っているんじゃないかってことについて)ずけずけ言いやがって…だから嫌いなんだよ!デリカシーのない奴め!

「そう大声出すなよ、夜中だぞ?ディルとか怒鳴り込んでくるかもよ」
「っ…ディ…、つ、つかお前が原因だろ…!」
「紅蓮ちゃんてホントディル苦手だよねぇー」
「だ、だって怖いし…っじゃねーよ!帰れよ早く!」

つかちゃん付けするな!


ディルとはバンギラスのディルビアのことで、オレは彼がちょっと苦手だ。すぐキレるし。まあこいつより苦手な奴なんていないが。

ディルは朱丸の隣の部屋だ。つまりオレの隣の隣になる。オレの怒鳴り声はそこまで聞こえるらしい。



「俺が氷漬けになったら紅蓮が溶かしてくれるでしょ?」
「誰が溶かすか、……」
「…おやすみ」




奴は去り際にオレのファーストキスを奪って行った。
よし殺そう。絶対殺そう。


終わり

- 1 -


[*前] | [次#]









←main