02
「サファイアは、ボクのこと好き?」
黙々と編み物を続けていたかと思えば突然、これだ。彼の頭をかち割って中身を覗くことが出来たのならと心底思う。
「……そげん、あたしば信用ならんの」
あたしはルビーが好きだ。好きで好きで好きでどうしようもないぐらい好きなのだけれど、こう聞かれてしまう度に言い様のない不安を感じる。
きっとルビーも同じ不安を抱えていて、だからこそこうして「好きかどうか」をいつも尋ねてくるのだろう……ということも自分なりに分かっているつもりだ。分かってはいるのだけれど、
「あたしの"好き"は、あんたに届いとらんの?」
何度も何度も確認し直さなくちゃならないぐらいにしか、この気持ちは伝わってないの?
そう言おうとしたあたしを遮るように、ルビーの声が重なる。
「届いてるさ」
「じゃあ、口に出して言わんでも分かってくれとるでしょう」
「……サファイアがボクのこと大好きなのは分かってるけど、それでも、何度でも言ってほしい」
いつの間にか詰められていた、彼の吐息が微かに感じられるほどの顔の距離にたじろぎそうになるけど、ここはぐっと我慢。ペースに乗せられてしまったら終わりだ、自分の中の野生の勘がそう告げていた。
「その度にキミの"好き"を心から感じていられるのが、ボクの一番の幸せだからね」
「もう終わりで良いです」
「……何の話?」