※杉江氏のキャラ崩壊気味
ロッカールームを覗くと、帰ろうとするガミさんとまだ着替えているクロが見えた。
「お疲れですガミさん」
「お、スギ帰ったんじゃないのか」
「ちょっと」
「ん?ポッキー?」
ガミさんは、俺が持っているポッキーを見て不思議そうに首を傾げている。
「あ、さっき有里さんにもらったんです。皆の分、あるらしいですよ」
「へえ…なんでまた」
そう聞かれると困るので苦笑いでごまかしておく。
「…詳しくは有里さんに聞いた方が」
「はは、なんだそりゃ。まあいいか〜。じゃスギ、お疲れー」
「お疲れっす」
相変わらずの軽さ。ガミさんなら普通に誰とでもノリでポッキーゲームしそうだよなと思っていると、部屋の奥で黙々と着替えていたクロが俺に気付いた。
「なんだ、帰ったんじゃねぇのかよ」
頭から私服を被り、襟首からひょこりと顔を出したクロと目が合う。今ちょうど着替え終わったみたいだ。
「いやちょっとな」
答えながら荷物をバッグに詰めるため、備え付けのベンチに座るクロの横に並んで座る。
「何だそのポッキー」
手の中のポッキーに気付いたクロが顔をしかめた。
先ほどの俺とガミさんとの会話は聞こえて来なかったらしい。
「有里さんにもらった。俺とクロとで食べないといけないみたいだぞ」
「ハァ?」
頭の上にクエスチョンマークが見えそうなくらい、分からないという顔。
こいつ甘い物は苦手じゃないはずだよなと思いながら、クロの前で俺はポッキーの封を破り、一本取り出し食べた。
…久々に食べると旨く感じるから不思議だ。
クロにもポッキーを差し出す。
「まあ理由はどうあれ貰ったんだし食べようと思ってさ。疲れたら甘い物っていうだろ」
クロは俺とポッキーを交互に数回見て、しばらくポッキーを凝視した後、俺の手から受けとった。
「………んな疲れてねぇけどよ」
ぼそぼそ言いながらポッキーを口へと運び、くわえたまま再び荷物を詰め始めた。
瞬間、今なら或いは、と芽生えた悪戯心。
次の瞬間には、もうクロを呼んでいた。
「クロ」
「う?」
呼び掛けで僅かにこちらへ向いた体を引き寄せて、くわえられたポッキーの先端をひとかじり。
目の前にはポカンとしたクロの顔。よし。まだ現状把握できてないなと確認してから、今度は大きめにひとかじり。
ポッキーは半分まで減った。
鼻が付きそうな距離で目の焦点が合わないクロを見つめた。
「……っ」
きっかり5秒くらいだった。
現状把握ができてきたのか、気の抜けた顔がみるみるうちに強ばり、ほんのり赤く染まる。クロは意外と肌が白いから、すぐ顔に出るなと思っていると、動揺したクロがポッキーを離したので俺の膝の上に落ちてきた。
「す!ばっ…おま…!!」
『スギ、馬鹿おまえ』とかそういうことを言いたいんだろう。全く日本語になってないけど。
「あ、離した。クロの負け」
「な!?」
落ちてきたポッキーを拾い上げ食べる。
「な、なんの勝ち負けだコラ!」
まだ赤い顔で必死になるクロ。勝負事だと遊びでもこだわる。
「んー…恋のかけひき?」
「…馬鹿じゃねぇの!?」
惚けた俺の答えにすっとんきょうな声で答えて、クロはしきりに辺りを見回す。そういえばここはロッカールームだったと今頃気にし始めたらしい。
「大丈夫だ。もう誰もいないから」
「そういう問題じゃねえええ」「大きい声出すと本当に誰か来るぞ」
「…………」
クロは白々と答える俺にどう答えて良いのかわからなくなったのか、脱力したように項垂れた。その背中に優しく手を乗せて声かけてやる。
「…まだ残りあるから続きは帰ってからな」
「するか馬鹿!!」
まだ赤い顔で必死にさけぶクロが可愛すぎるので、今回はサービス精神旺盛の達海さんに感謝せざるを得ない。
(了)
長らくお待たせしてすみません。ポッキーの日から3日も経ってるけど!←
突然ですが、私は杉江氏を(良い意味で)変態という名の紳士だと思っている節があります(全国の杉江スキーさんに謝れ)。これはナチュラルにセクハラの域ですね。好きですこのベタな展開←
私は書いてて楽しかった!(そうだろうな)
このサイト、こんな杉江がいるスギクロですが…大丈夫か?
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