人の起爆スイッチは様々だ。銃が並んでいるのを見ただけで破壊衝動に駆られる輩もいればグラビアの写真を見ただけで勃起する下品な奴もいる。そういった点で僕は世界を一つフィルターを透かして見ているようだ。僕の世界を僕以外の人間の視点で考えてしまうのだった。

「なまえさんは寝る時に下着を付けないタイプですか」
「…なんで」
「特に意味はありません。どうなんですか」
「…ちゃんと付けてますよ」

彼女は眉間にしわを寄せ集めて僕を見た。白いプリントTシャツの下にはどんなものかはわからないが現代版のさらしが付いていて、灰色のズボンの下にも一つ層を隔ててあるわけだ。その辺境に僕も触れたい。

「曽良くんこわい」
「こわくありません」
「何か喋ってくれないと」

暗いベッドルームに隣の部屋から差し込む電気の明かりが一瞬だけ彼女の涙を照らした。いくら考えても理解ができなくてついまた黙ってしまう。僕はもともと寡黙なほうだから喋れと言われて饒舌になどなれない。僕の不器用が彼女をこわがらせるスイッチになってしまった。キスをしたら縋るように抱きつかれて、僕はようやく幸せを感じる。








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