「俺の事は知ってるよな?」 「はい。女性に大人気のイケメントキワジムリーダーことグリーンさんです」 「なら問題ない」 「大有りですよあなた馬鹿なんですか」
夕陽に染まるトキワシティで人知れず婦女誘拐事件が起きた。一人で歩いていた帰路の途中突然呼び止められ、なす術もなく腕を掴まれ連れ去られたのが事の始終である。ジムの裏に入ってすぐに組み敷かれてキスまで許してしまったのに、初めて入る場所なのでわくわくなんて余裕の現れは相手が相手だからだと考える。
「俺まじでお前に惚れてんだよ」 「掘らないでください」 「掘らせろよ!」 「よく知りもしない人に簡単に掘らせませんよ!」 「俺の事よく知ってんじゃねえか」 「え?さっきのでですか?」 「おお」 「…グリーンさんが天性の阿保だとまでは知りませんでした」
そう言う間にも彼の手は私の服のフロントボタンを慣れた手つきで、慣れた手つきで外していき、履いていた短パンも脱がせた。さらに黒タイツを脱がせにかかったところで彼は不審そうに私を見た。
「抵抗しなくていいのかよ」 「疲れたセックスはあまり好きじゃないんで」 「…変なやつ」
再びキスの雨が唇から額、頬、耳と順々に降り注いでくる。心底満たされたように笑う彼にくすぐったくなるのは、そうだ、初めて訪れた場所だからだ。だから場所のせいだと考える。
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