臨也は私をずっと軟禁している。そんな雰囲気が彼自身から何となく伝わってきていた。フェイスブックやラインで友人たちの近況を見る度に疎外感を覚えて今すぐ外へ飛び出したくもなったけれど、臨也がいるのなら私は途端にシフトチェンジして、彼のそばへ付いてしまう。依存はしていないと思いたいけど、ある程度の必要性は否めないのが現状だ。

「なまえ、久々に相手してよ」

いつものくるくる回る黒い椅子にどっかり座って頬杖をついて、挑発的な目線は私に魔法をかけたような作用をもたらす。かつてはこの行為に背徳や屈辱を感じられる程の理性を備えていたはずなのに、今となってはもう、私の方から疼き出す始末だった。細く伸びた足の間に立ちその膝に片手をついてキスをする。確かにこんな事をするのも何日かぶりだった。

「私もう帰りたい」
「だめ。ていうかいい加減空気読んでよ」
「わかんない。臨也いつも急だし」
「頭わる」

憎まれ口をたたく口を再び塞いでやると私の唾液が重力に任せて臨也の喉へ流れていった。彼は時折苦しそうに密かに眉をひそめながら逐一飲み込んでいく。心底恥ずかしい。口を離すと上目遣いの細い瞳が濡れかけていた。

「そのまま死んじゃえばよかったのに」
「なまえを遺して死ねないだろ」
「なあに、それ」
「ああもううるさい。喘いどいてよ」

臨也の右腕が私の腰に絡みついて彼の上に跨がるような形になる。今日でもう何度目か知れないキスをしながら服の中に手が入ってきた。椅子が汚れる。肘掛けも埃をかぶっているから掃除しなくちゃいけない。臨也の指が虫刺されに当たって息が漏れたのを彼はいいように解釈していた。








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