どうせ俺も健全に不健全な男子高校生なんだ。スピーカーから流れてくるノイズみたいな音楽を聞き流しながら隣で寝ているなまえを盗み見た。こんなうるさい部屋でよく寝れるものだと感心する。彼女の部屋は俺の部屋より明るくて広くていいにおいがして物が少ない。おまけに鍵も付いてるから何でもし放題だ。

「井浦ぁー」
「はーあーい」
「ねむい…」
「寝てるじゃん。いま」

ベッドに近づくと薄く目を開けたなまえと目があって、力任せに布団の中へ引き込まれた。腕から足から体全体で絡まってくる。イカかタコみたいだ。しかしすぐに満足したのかまた動かなくなった。

「なまえさん、なまえさん」
「いやだ。しない」
「な、生殺しつらいうら!」
「一生一人でやってろ」

そう言ってなまえは左頬をつねってきた。唇が首筋に触れるか触れないかのところでとどまっているのが意図してか無意識なのかもわからない。俺の手のやり場や思考の方向性が迷子だ。左頬の痛みが引いていったので名前を呼んでみたら案の定規則的な寝息が返ってきた。部屋に鍵が付いたところで彼女のガードが下がらなきゃ意味はないんだ。








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