マスターはいつも下着姿。夏は扇風機とクーラーを同時に働かせたままで、冬には暖房をつけた状態でそんな格好だ。暑がりなんだか寒がりなんだかよくわからない。マスターのくびれは私より少しだけ緩い。

「ミクはいいね。太らないじゃん」
「マスター、太ったんですか?」
「先月?と比べて一の位の数字がレベルアップしちゃった」
「えー。見えないのに」
「あはは、ありがとう」

そう言って笑うマスターの口端からドーナツの欠片が落ちた。痩せなきゃいけないんじゃないのかなあ。シナモンの香りが30cmの幅を越えて私の鼻腔を刺激する。あ、マスターの大好きなシナモンはマスターの桜色の唇を茶色く茶色く染めていきます。そうしてどうやら、赤い舌が舐めとると。

「ミク、明日は曲を書くからね。楽しみにしてて」

ふわふわ漂うシナモンとパウダーシュガー。ラム酒が14%とたっぷりのミルクドーナツ。マスターが書いてくれる曲は、私は大好きだから、どう考えてもすべて大好きなの。選ぶ言葉の一つ一つを私のために考えてくれてマスターのミクにいちばん合った音程で、そうだなあ、ホットケーキみたいな心になれるよ。下着のホックが悲鳴をあげているけれど私は優しい。優しいのである。








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