流れるように俺を追い越していく雲が季節を教えてくれたらしい。いつのまにかこの世に生まれて十八年が経とうとしている君を祝福できなかった。その内外で気がついたら俺は両手にさみしさを抱えて突っ立っていた。笑えない話だ。俺のため息に気づいた鬼男くんがお茶を持ってきてくれた。

「なまえちゃん、はやくこっちに来ないかなぁ」
「不謹慎ですよ」
「だって、さびしいじゃない」
「まだ十八年しか経ってないじゃないですか」
「あー、そうね。そうだよね」

実に彼の言う通りだ。数えきれないほどの年月を重ねてきた俺がたったの十八年にしびれをきらしている。輪廻転生なんて制度はいらない気がしたけどそれがなくてはすべての秩序が崩れるから、そんな、一人の少女のためだけに掟を破るわけにはいかない。ここは俺の忍耐力が試されるわけだ。

「あ、死者が一人いらっしゃいましたよ」
「本当だ。えっと…あれ?なまえちゃん」
「はじめまして閻魔様」

その黒く塗りつぶしたような瞳はまさしく彼女のもの。何度生まれ変わっても変わってくれない。すこし挑戦的な面構えがまた新しくて、まるで赤い手首を携えた天使が舞い降りてきたみたいだった。これからの冥界はきっと必ずや忘れさせまい。まずは振り出しに戻るからはじまる。








「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -