冥界の季節は日本のそれとマッチしていて今宵はあつく燃えるような日だった。そんな日になると閻魔は必ず私の部屋へ忍びこんで下手な狸寝入りをかます私に覆い被さってくる。私がわざと終盤になって起きるフリをするのも、彼はきっと見透かしているだろう。

「えん、ま」
「あ、なまえちゃん起きた」
「なにしてるの、ばか」
「ふふ、かわいいね」

噛みつくようなキスが終わると中に入っていた指が抜かれて代わりにもっと求めていたものがくる。このあつい夜をさらにあつく燃えあがらせる熱量はだれのもの。答えは明瞭なはずなのにいまの私じゃわからない。わかってあげない。だからはやく壊して。

「わぁ、なまえちゃんの中、あっついねぇ」
「閻魔の、が、あつい」
「あはは、じゃあ相乗効果ってやつか」

もっとちょうだいと耳元でいつもよりワントーン低い声で囁きながら体の筋を撫でた。その手が胸にたどり着くと強弱のバランスをうまくずらしながら愛撫、だけど腰のほうも手を抜くことなく激しく打ちつけてくる。外の明かりに時折見える閻魔の表情はすこし苦しそうできらめく汗がダイヤモンドのように輝いた。

「俺の子が産めたらいいのにね」

その言葉を最後にホワイトアウトを起こす。たくさんの愛が流れこんできている。きっとこれには意味があって私の体が生前と同じようにせめて一度でいいから機能してくれますように。何度目かしれない願い事をまたひとつ、ため息とともにこぼした。



熱帯夜に溺れる



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