私も臨也も明日は休みなので二人でソファに座ってつまらない三流と思われるホラー映画を見ていた。展開も決まってるしびっくりさせるばっかりでこわくない、というホラー映画にあってはならない事態が起きている。部屋も真っ暗にしてるものだからもうまぶたが落ちかけてきた。臨也も暇そうにしている。私があくびしたのを見た臨也がふいに私の体勢を変えて臨也の手がわき腹からもぐりこんできた。
「どうしたの急に」 「いやぁ、やっぱりなまえのこれは気持ちいいなと思って」 「たいしたものじゃないよ」 「最初はね」 「育てたつもりですか」 「育ったでしょ」
容赦なしに揉まれるからすこし自分の手の置き場に困る。おまけに彼の足が体をしっかり挟んで逃げられそうにもない。まぁ逃げる気もないからいいけど。臨也を背もたれがわりに体重をかけると重いと文句言われた。失礼な。
「不感症だから揉み放題だし」 「ごめんね、かわいい声出して抵抗したりできなくて」 「そうだねぇ。演技でもちょっとしてみてよ」 「は?いやだよ」 「いいじゃんいいじゃん。まぁそんなに期待してもないけど」
最後の、めちゃくちゃムカつくんですけど。そそのかす気なのかはたまた素なのかは定かでないが少なくとも負けず嫌いな私のなにかのスイッチを入れてしまったようだ。催促しながら胸の触り方にいやらしさが増す。こうなったら気合いだ、どうとでもなれ。
「…うわぁ、想定外」 「わ、悪かったねへたっぴで!」 「ちがう逆。案外よかった」
そのまま首筋に歯が立てられて臨也の手が服の中に入ってくる。背中に本気の主張が感じ取れた。後ろからやられるのってなんか表情見えないから不思議な感覚。相変わらず残念ながら私は冷静なこと考えるけど、ホラー映画の隣でなにやってんだかね。三流だからいっか。小さく息をこぼすと、声が聞こえなくなると言って臨也がテレビを消した。夜に溺れていきそう。
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