立派な哲学を持った少女だと思った。白い肌は牛乳の飲み過ぎに違いなかった。キスを嫌がるくせに足は開くなんて、なかなか現実離れした感覚だと思う。それでも確かに彼女はしあわせそうではなかった。
「レッド、長い」 「気分」 「私の気分は考慮してくれないの」 「なまえもきっとよくなる」
指先一つで達してしまうのが妙におかしくてそればかりしていたら叱られた。赤くなった頬がすこし苛立っている。そういえば昔に、指だけでは女の子はつらい、と聞いた事がある。僕のおかげでつらいようだ。
「入れてったら。はやく」 「じゃあなまえの哲学、僕にくれる?」 「哲学って…。別にあげられるようなものでもないでしょ」 「僕は欲しい」
キャンバスのような肌に赤でも青でも色を足してみたい。唾液が絡み合うようなキスをしたい。性的な行為を越えた先の幼い愛し方をしてみたかった。それに必要となるのが彼女の哲学なのだ。死をも恐れないような強さで僕をきらきらにするのだ。
「言ってる事がよくわからない」 「僕はなまえの事すきだよ」 「ああ…はい。ありがとうございます…」
目をそらされた。さっきまでと違って愛らしく染まる頬を見て、やっぱり僕には遠いのかもしれないと思った。悔しいから彼女の嫌いな体位で入れてやる。どちらのものともわからない舌打ちを引き金に僕たちは今一度、深く息を吐いて過ごすのだ。
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