少し息苦しいとさえ思える程だった。ずっと私の足に銀時の指、腕、足、視線、全部からまってくるような。自由は許されない、然るに私は天邪鬼となる。そうだよ。一種の鬼なのだよ。銀時の腕の中で微笑んだところで彼には見えていない。
「なァなまえ」 「なに?」 「腹減った」 「何か作ろうか」 「いや、いい」 「どっちよ」 「餓死でもするか」 「馬鹿おっしゃい」
言ってから銀時の言葉の意味を知った。でも今日はそんなに嫌な気もしないから、気づかぬふりのまま銀時の隣に座る。案の定、押し倒される。隙間風でよく冷えた床が冷たかったせいで肩が震えたけど、彼は気にもとめず自分のしたいことを要求してきた。私はいつでも二つ返事でオーケーしてきたじゃないか。言葉の鬼ごっこなんてやる気はないし興味もない。鬼は鬼でも新しい色合いの鬼なんだから。ストレートな表現で結構結構。餓死になんだか興味深い。
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