家に帰るとヤドンのしっぽが机上にこれでもかというほど並べてあった。きちんと包装されてある、ということは売り出されたものだろう。どれを見てもいつのものかなどさっぱり見当もつかなかった。一番奥の部屋、なまえの寝室だけが電気がついていない。入り口から中を覗くとベッドが小さく膨らんでいた。

「なまえ、あれは何ですか」
「ヤドンのしっぽです」
「私の売り上げですよね」
「これでプラマイゼロ、残念でした」

彼女は一切ベッドから顔を出さなかった。枕の上には黒い髪だけが放射状に広がっている。その中心に手を添えるとまだあたたかかった。

「どんな気分?」
「非常に腹立たしいです」
「本当?」

上ずった声が嬉しそうな笑い声に変わっていく。すこし彼女の方に傾くと重心がずれてベッドが軋んだ。少々荒い息も耳を澄ませば聞こえてくるに違いない。事実彼女はそこそこの酸欠状態だ。ベッドの下に落ちていたヤドンのしっぽを手に取ると案外重かった。

「今夜はご飯抜きですか」
「抜きです。オナニーも禁止です」
「…そうですか」

ベッドから出てきた表情に対する私の感情が複雑すぎる。








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