頬杖をついてあくびをしながらいろいろと思い出した。シロガネやまに行った時に私が冷たい風にやられてお腹をさすっているとじっとこっちを見ていつもの通り黙っていた瞬間や、その間の私の期待、後で裏切られた時の自分勝手な苛立ちもまるで生け花のような思い出だ。しかし愛でる以上のものはなかった。

砂時計をもう一度逆さにしてみる。あと三分だけ考え事をしてから出かけよう。いつも遅刻魔の私が珍しく早起きをして早めに支度を済ませて時間を余らせた結果がこれだ。こんなにつらい暇を出された事は一度もなかった。何の事を思い出していただろう。飽和した頭はどこにも行けずに水素を感じる。秒針の音がとてもうるさい。机の上には赤色の砂時計と白い封筒と水が入った湯呑みと携帯。砂時計はあと半分といったところだ。

ちゃちな安物の砂時計だからね、上半分をとんとん叩けば時間はいくらでも早送りできる。魔法使いの擬似体験ができる。楽しいかといわれればそれは実にその時の気分次第だ。ちなみに今の気分は最悪だ。

遅刻できない。行きたくない。せっかくのお化粧も塩水で溶けてしまえばいいと思う。でも最近のウォータープルーフとかっていうやつのせいでなかなか落ちない。こすったらそりゃあ落ちるけど目に入ったらかゆいから。こう思えるだけ私はまだ生きているという事が明確になってやっぱり泣いちゃった。

レッドの死顔なんて私が食ってやる。








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