小説 | ナノ

 07


颯斗君は私の突然の言葉に驚きを隠せないようで、
抵抗をするのを止めた。
そして静かに口を開いた。


「・・あなたに、僕の・・・何がわかるって言うんですか」


その言葉は心の底から吐いているような、
憎々しげに、でも優しい言い方だった。
私はそんな颯斗くんに微笑んで、頭をなでた。

「ここにはあなたを責める人はいないよ。
あなたの味方しかいない。大丈夫だよ」


そういったところで、颯斗くんは
初めて顔を上げた。
綺麗な瞳。その目は悲しみに歪んでいた。


「たくさん頑張ってきたんだね」

目を合わせてそう言うと、
再び目を伏せた。
これで颯斗くんは1歩成長出来たはず。


「おー?お前ら仲良しだな!颯斗!」

和室スペースで抱き合ってると、
いつのまにか、一樹が私たちの様子を見ていた。
後ろには月子ちゃんもいる。
あれ?哉太くんと錫也くんは?
そう尋ねると、あとでくるらしい。
よしあの子たちも良い子ね。

「颯斗くん、元気になった?」

目を伏せたままであった彼は、
私に抱きしめられたままだった。
そして今は肩に頭を預けてくれている。

「生徒会役員にならなくても、
いつでも私のところにおいでよ。
颯斗くんと仲良くなれるの、待ってるから」

そう言うと颯斗くんは私の肩から頭をあげた。
その目はさっきとは打って変わって、
とても清々しそうだった。

「初対面ですのに、ありがとうございます。
陽先輩、よろしくお願いします。」


私は嬉しくなり、頷いた。

そして月子ちゃんは生徒会役員に
入ってくれるらしい。
その事実に私は嬉しくて緩めていた腕に
再び力をいれ、いつのまにか立っていた颯斗くんに
抱きついていた。


「やったあああ!月子ちゃんも颯斗くんも、
ありがとうね!!よろしくね!!」


そういうと颯斗くんは再び戸惑っていた。
月子ちゃんは満面の笑だった。


「はい!陽先輩!よろしくおねがいします!」

と、ひとこと付きで。
私は颯斗くんから離れ、月子ちゃんに抱きついた。
あー女の子らしいこの柔らかい感じ。
颯斗くんも柔らかいけど男の子って感じ。


「・・颯斗」


「会長。本当に僕に務まるんでしょうか」


「それは問題ない。
お前なら絶対出来る!これは確実だ!」


「・・わかりました。引き受けます。
よろしくおねがいします」







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